2003年4月10日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党の木島日出夫議員は九日、衆院法務委員会での名古屋刑務所事件に関する集中審議で、法務省が七日提出した資料をもとに質問。消防ホースによる高圧放水で受刑者が死亡した事件の真相を、刑務所長ら幹部が死亡直後に知っていた可能性をただしました。
木島氏が取り上げたのは、保護房内の様子を伝える監視装置(モニター)の映像や音声を記録した「処遇票」と、刑務官が直接、房に行って十五分ごとに記録した「動静視察表」です。
木島氏は、「法務省の事件調査中間報告では『処遇票に記入した看守が、モニターで放水音や悲鳴を聞くなど異常な事態を察知したが見て見ぬふりをした』としているが、モニターを見る機会は他の人にもあったはずだし、死亡直後に所長がモニターを確認したはずだ」と指摘。看守に責任を押しつけ、「刑務所長は事件を知らなかった」とする見解の不自然さを追及しました。
法務省の横田尤孝矯正局長は、モニターを見られる部屋には複数の者がいたと答えました。しかし、森山真弓法相は「所長は知らなかったようだ」と答弁。横田矯正局長も「モニターは録画も録音もされておらず、監視役の看守が上に伝えなかった」とのべ、刑務所長らをかばいました。
木島氏は「動静視察表」にある「毛布をかぶり、うつぶせで『あー』と叫んでいる」などの記述は、暴行後の痛みの訴えと思われると追及。それまで健康だった受刑者が死亡したのだから、「その時点でこの記述を見れば不審に思うはずだ。所長が知らなかったはずはない」とのべ、真相解明がいっそう重要だと強調しました。