日本共産党

2003年4月1日(火)「しんぶん赤旗」

医療費3割負担

福祉に敵対、公明党


 四月一日からのサラリーマンなどの医療費の三割負担実施で、公明党が「三割負担は必要」と弁明に必死です。公明新聞三月三十一日付では、三割負担を「『国民皆保険』維持に必要」とする一方、「野党の凍結論は無責任」などと三割負担凍結を主張する野党を攻撃しています。

負担増で逆に財政悪化

重症化で医療費押し上げ

 公明党は、三割負担必要の最大の根拠に「各保険財政が年々悪化し、崩壊の危機に直面」しているということをあげています。しかし、国民への負担増押しつけは、「国民皆保険制度」を守るどころか、保険財政をいっそう悪化させる悪循環をまねきます。一つは、患者負担増は、病院に行くのを我慢する受診抑制を引き起こすからです。

 二割負担に引き上げた一九九七年の医療改悪のときには、患者(三十五−六十四歳)は三十五万人も減りました。受診抑制は病気の重症化につながり、症状が軽いときよりも医療費の増加をまねくことに。その結果、保険財政の悪化となってはね返ります。

 地方議会で可決された三割負担の実施凍結を求める意見書でも、「不況下での医療費負担の増大は、県民の健康悪化を増大させ、総医療費増大による悪循環を作り出す恐れがある」(高知県議会)と指摘しています。

保険料収入さらに減少

景気の冷え込みますます

 医療保険財政を悪化させてきた大きな原因の一つは、長引く景気低迷のもとでの賃金カット、リストラなど加入者の減少による保険料収入の低下です。

 日本最大の健保組合の一つ、日立製作所健保組合の場合、二〇〇二年度予算で五十六億円の赤字でした。リストラによって保険料収入が六十六億円も減少することが原因です。

 このうえ負担を増やせば、経済を悪化させて失業や倒産を加速させ、保険料収入がいっそう減るという悪循環をまねき、ますます保険財政を悪化させることになります。

 地方議会の意見書でも、負担増について「さらなる景気の冷え込みと給与所得者の生活を一層悪化させる」(沖縄県議会)と指摘するものが多数あります。

 負担増は、「『国民皆保険』維持に必要」どころか、逆に財政悪化の悪循環で「制度持続」の根幹を掘り崩すのです。

将来負担増と国民脅す

国庫負担上げへ責任果たせ

 公明党は、負担増を実施しなければ「近い将来、より大きな患者負担増、もしくは保険料の引き上げ、国庫負担のための増税となってハネ返ってくる」(公明新聞三月三十一日付)と国民を脅しています。しかし、国民を脅しつける前に、国が責任を果たすよう求めるのが政党の役割です。

 たとえば、公明党が“財政が破たんする”と不安をあおる政府管掌健康保険の場合、九二年に黒字を理由に国庫負担率を16・4%から13%に引き下げました。そのさい政府は、赤字になったら国庫負担を元に戻すと約束していました。健康保険法の本則(第七〇条の三)でも、国庫負担率は16・4%−20%の範囲内と明記されています。

 保険財政の破たんを負担増の脅しに使うのではなく、法律の規定通り、まずは国庫負担を元に戻す努力をすべきです。

野党は凍結へ財源示す

“示さず”は悪政隠すウソ

 公明新聞は、野党の「凍結論」を攻撃するため、「財源(3400億円)示さず選挙目当ての“甘言”」などとウソまでついています。

 野党四党は、二月に二〇〇三年度政府予算案にたいする組み替え要求を提出。このなかで、三割負担「凍結」などのために追加額をとるよう求め、そのための財源として公共事業関係費の削減(一兆六千億円)、特殊法人等向け歳出の見直し(一千億円)などを求めました。この要求は国会で組み替え動議として提出しました。

 自らの悪政を覆い隠すためには、ウソをついたり、国民を脅しつけたりする公明党は、「福祉の党」どころか、その敵対者にほかなりません。


過去の主張に照らしても

成り立たない野党への批判

 公明党の議論は「凍結すると…国民皆保険は崩壊して、いつでもどこでもだれでもの医療が受けられなく」なる(公明新聞三月二十三日付)などと国民の不安をあおるもの。こうした批判は、公明党自身の過去の主張にてらしても成り立ちません。

 たとえば、九七年九月の健保本人二割負担導入の際、公明党は、保険財政が「赤字だからといって、安易に保険料や患者負担を増やせば解決するという問題ではありません」(公明新聞九七年四月二十九日付)と指摘。負担増は受診抑制をまねいて「重症になるまで放置されるというケースが増えかねない。結果的には医療費の増加を招くという本末転倒にもなりかねない」(同六月十七日付主張)と批判していました。

 また、九七年に当時の小泉純一郎厚相が三割負担導入などの国民負担増計画を発表したときには、「『だれでも、どこでも』受診を可能とすることを基本としてきた国民皆保険の理念を自ら崩すことになる。結局は……弱者切り捨ての保険制度に道を開くことになってしまう」(同八月二十六日付)と主張していました。


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