2003年3月29日(土)「しんぶん赤旗」
プロ野球の巨人、日本ハムの本拠地となっている東京ドームが、今季からサラリーマン金融(サラ金=消費者金融)の広告掲載をやめたことがわかりました。千葉マリンスタジアムでも自粛を決めるなど、昨年末の本紙連載「スポーツ界 侵食するサラ金」、日本共産党の地方議員の要請などが、その大きな力となりました。(和泉民郎記者)
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二十八日、巨人−中日戦でシーズンに突入した東京ドーム。両チームベンチ付近のながめが大きく変わりました。
昨年まで「武富士」「アコム」「プロミス」など四社がひしめいていたサラ金広告が、きれいに姿を消したからです。
今季、同ドームで初のオープン戦(日本ハム−ヤクルト)が行われた十一日、スタンドのファンに聞いてみました。
「そういわれれば…」と、まじまじと見入ったヤクルト応援団の森下真康さん(25)は「巨人は好きじゃないけどサラ金広告がなくなるのはいいことだよね」。
日本ハムファンの主婦(32)も「ああいう広告は知らず知らずに目に入ってくるでしょ。うちの小学生の子も文字を声に出して読んでました。なくなったのはよかった」とうなずきます。
プロ野球の本拠地では福岡ドームに次いで多かった東京ドーム。テレビ放映も多いだけに、サラ金広告の一掃は大きな意味があります。
同ドームに理由を聞いてみると「民放連がテレビCMの問題を取り上げるなど、サラ金広告に批判が出ていることを考慮しました。とくに青少年に影響があることも自粛の大きな理由です」(広報グループ)との答え。
一月、先の本紙連載をプロ野球の球団、球場も含めた百六十のスポーツ団体、六十人のスポーツ関係者に送付し「ご意見をお寄せください」との手紙を添えました。すると、ある球団幹部からこんな手紙が寄せられました。
「有用でした。赤旗連載により、スポーツ界へのサラ金侵入に驚きました。……(球場には)サラ金広告を撤去するよう要望しました」
サラ金は利息制限法(年利上限15−20%)を超える違法な高金利(約25−29%)で営業し、自己破産、自殺、家庭崩壊の原因となっています。そのダーティーなイメージを隠すように、クリーンなスポーツ界への進出を強めています。テレビ中継のCMも含め、その“主戦場”がプロ野球なのです。
昨年まで十一あるプロ野球の本拠地球場のうち、サラ金広告を掲載していないのは、たった三球場(神宮、甲子園、広島)。今季はこれに東京ドームが加わりました。
さらに千葉マリンスタジアムは昨季二社あった看板を一社に減らし、くわえて「今後、新規契約は基本的にしない」としました。
きっかけは昨年末、千葉市の日本共産党・小松あつし県議、木田ふみよ市議、岩本ひで子市議候補らが、広告規制の申し入れをしたことでした。
千葉マリンスタジアムの萩原正一営業部長は、「お話の趣旨を検討して今回の措置としました。一社は三年契約のため残りますが、今後はそことも契約は結ばない方向です」といいます。
党議員の機敏な対応が球場を動かした形です。
申し入れた一人、ゆうき房江県議候補(現千葉市議)は「“やったー”という感じです。球場はフェアプレーの大事な場。それにふさわしい環境をつくるため、球場もファンもいっしょに考えていけると思います」。