2003年3月29日(土)「しんぶん赤旗」
日本共産党の富樫練三議員が二十八日の参院本会議でおこなった二〇〇三年度政府予算にたいする反対討論(要旨)は次の通りです。
まずイラク問題です。米英軍による道理のない戦争が、毎日、罪のないイラクの市民の命を奪っています。二十六日には、バグダッド市内の住宅地や市場などにミサイルがうち込まれ、多くの死傷者が出ました。
この戦争は、国連憲章と国際法に照らして断じて許されないものです。軍事攻撃の即時中止を強く要求するものです。同時に、小泉内閣に対し、武力攻撃支持を直ちに撤回することを強く求めます。
国連は、この戦争の根拠となる決議はいっさい行っていません。アメリカがイラクから侵略や攻撃を受けたわけでもありません。国連憲章で厳しく禁じられている不法な先制攻撃であることは明らかです。
アメリカは武力攻撃によって平和解決の道を断ち切りました。ブッシュ大統領の言明によっても、この戦争の目的が、大量破壊兵器の廃棄ではなく、武力によるフセイン政権の打倒であることは明らかです。これは、他国の主権尊重、内政不干渉を定めた国連憲章を公然と踏みにじる無法そのものです。
与党の幹部は「人道的立場から戦後の復興支援を」といいますが、人道上許されない殺りく行為を支持しながら、何が人道支援でしょうか。戦争を即時中止させることこそ、人の道ではありませんか。
わが党は、創立以来八十年、侵略戦争反対を貫いてきましたが、平和を願う世界と日本の人々とともに、この戦争をやめさせるために全力をつくすものです。
さて、予算案についてですが、小泉「構造改革」路線の破たんは、国民の暮らしにかかわる指標のどれをとって見ても明らかです。破たん済みの路線にしがみつく小泉内閣にはもはや日本の経済、財政を語ることも、予算編成の能力もないことは明らかです。
予算案に反対する第一の理由は、国民に莫大(ばくだい)な負担増を押し付けるものだからです。
平年度ベースで医療、年金、介護、雇用保険など社会保障の負担増と給付削減で二・七兆円、発泡酒やワインの税率引き上げ、配偶者特別控除の廃止、消費税の免税点の引き下げなど、庶民や中小企業の増税は地方税を含めて一・七兆円、国民の負担増は合計四・四兆円の巨額となります。
とりわけ深刻なのは医療費の負担増問題です。昨年十月から七十歳以上のお年寄りの医療改悪で国民負担が大きくなった結果、治療を中断するなどの事態が続出しています。四月からのサラリーマン本人の三割負担は、受診抑制による国民の健康悪化を招くことは明らかです。ある患者さんは「がんが発見され、入院したら医療費が約百万円。二割で二十万円の負担。高額医療費の負担分は払えるが、二十万円の一時払いができなくて苦労した。三割負担なら三十万円となり、大変なことになる」と語っています。
野党四党が共同で、健康保険本人三割負担凍結の法案を提出しましたが、与党はその審議さえ拒否しました。この与党の姿勢は、国民の声に背を向け、国会の責任を放棄するものです。
反対の第二の理由は、中小企業に深刻な打撃を与えるからです。
中小企業対策予算を7・1%も減らし、二十五年前の一九七七年当時と同じ水準に落ち込ませました。不良債権処理の加速化政策によって、銀行が自己資本比率維持のための貸しはがしを強め、金利引き上げに走り、その結果、赤字企業ばかりか、この不況の中でもがんばっている企業までが倒産などの窮地に追い込まれる事態が広がっています。
反対の第三の理由は、まともな雇用対策をおこなわず、失業率を悪化させる一方で、失業者への給付を大幅に削減するなど、働く国民にあまりにも冷たいからです。
雇用の現場では、異常な長時間労働のため過労死がふえ、パソコンの勤務記録を改ざんしたスズキ自動車にみられるような違法なサービス残業が横行しています。二十一世紀こそサービス残業のない日本をつくることが政府の責任ではありませんか。
反対の第四の理由は、無駄な公共事業が温存され、税金の無駄づかいと自然破壊の構造にメスが入っていないことです。関西空港第二期工事や、諫早湾干拓、川辺川ダムなどの税金の無駄づかいと自然破壊はそのままの続行です。
また、イージス艦や空中給油機をはじめとした正面装備費、ミサイル防衛日米共同技術研究、米軍との共同訓練経費、米軍への思いやり予算など、アメリカの軍事行動に協力することを中心とした軍事費も到底容認できません。
最後に、政治と金をめぐる問題です。昨年の鈴木宗男議員に続き、今国会でも坂井衆院議員の逮捕、大島農水大臣の疑惑の浮上など、政治腐敗の広がりと深さは目をおおうばかりであります。「大島大臣は辞任せよ」との国民の声に、小泉首相は「本人の判断の問題」などと無責任な態度に終始しています。
わが党は、企業・団体献金の禁止を提案していますが、少なくとも、公共事業受注企業からの献金は直ちに禁止すべきであります。
私は、予算の基本を国民のくらしを応援し、日本経済を再建する方向へ転換することを強く主張し、討論を終わります。