2003年3月28日(金)「しんぶん赤旗」
イラク戦争のさなかの東京都知事選挙。日本共産党の若林義春候補が第一声で訴えた「『ただちにイラク戦争をやめなさい』の平和の呼びかけを全世界に発信したい」という言葉は、七千人の聴衆の心を一つに結びました。さらに、まともな地方自治体の心を都政にとりもどそうと呼びかけ、福祉・くらし、環境を守る具体的な公約を示した若林氏の訴えは、聴衆の熱い反応に包まれました。
石原慎太郎候補は出陣式での演説で、「国とたたかう」とアピールしましたが、都政については、ディーゼル規制、都が主体の新銀行設立の公約に一言ずつふれただけ。現職知事でありながら都政について語れない、異常なものでした。
その後の演説では、「イラク戦争に賛成したおぼえはない」「争点はイラク戦争賛成か、反対かではない」とのべ、この間繰り返してきたイラク戦争容認、米国追随の本音を有権者に隠し、選挙を乗りきろうという姿勢を示しました。
一方、樋口恵子候補の第一声には、都議会の石原与党・民主党、生活者ネットの議員も参加。樋口氏は石原知事の政治姿勢を「問答無用」と決めつけましたが、石原都政の何をどう変えるのかという中身は、皆無でした。
石原氏は出陣式で、「共産党を除けば、本当に新しい連帯を都議会で生んで、非常にすべての審議、順調にすすめてきた」と、都議会の「オール与党」体制を誇りました。
志位氏が新宿西口の演説で指摘した通り、日本共産党以外はすべて石原与党という都政の実態は、石原知事も認めるものです。
それを裏付けるように、石原氏の出陣式には、都議会の自民、公明の都議が会派をあげて参加したほか、樋口支持を決めた民主党からも、石原支持に回った八人の都議が参加しました。
都議会ではずっと石原与党で、福祉切り捨ての逆立ち予算にも賛成してきた民主党や生活者ネットが、選挙のときだけ、「反石原」ポーズで候補者を立てるというのは筋が通りません。樋口氏が、石原都政にたいする明確な対立軸を描けない根源はここにあります。
若林候補の第一声を聞いた聴衆からは、「樋口さんと石原知事は、入り口は二つあっても、入る家は一つ」と声があがっていました。