2003年3月25日(火)「しんぶん赤旗」
日本共産党と党高知県委員会が二十四日、公明党の松あきら参院議員と同党高知県本部などにたいし損害賠償と謝罪広告を求めた訴訟の訴状を紹介します。
訴状
2003年3月24日
高知地方裁判所 御中
原告ら訴訟代理人
弁護士 土田嘉平
谷脇和仁
小林亮淳
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別紙(一)当事者目録のとおり
謝罪広告等請求事件
訴訟物の価額
金 一〇三四万三九八〇円
1 被告らは各自、原告日本共産党に対し金5000000円、原告日本共産党高知県委員会に対し金5000000円及び右金額に対する本訴状送達の翌日より支払い済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え
2 被告らは、別紙(二)記載の謝罪広告を、高知新聞朝刊の社会面中段に、4段抜き9・5センチメートル幅により、見出し(5・5倍ゴシック)及び謝罪文の内容の活字はA(9・5ポイント)をもって一回掲載せよ
3 訴訟費用は被告らの負担とするとの判決並びに第1項についての仮執行宣言を求める。
原告日本共産党は、1922年7月15日に創立され、国民本位の政治の確立をめざして80年余にわたって活動を続けてきた政党であり、「政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格付与に関する法律」にもとづいて法人登記をなしている
また、原告日本共産党高知県委員会は、高知県民の利益を守って、日本共産党の上記目的の実現をめざして、高知県内における日本共産党員によって構成され、高知県内において自主的に活動をしている組織であり、政治資金規正法にもとづいて、独自の単位をなす団体として毎年、政治資金報告を行っている権利能力なき社団である。
被告松あきらは、神奈川県選挙区選出の公明党参議院議員であり、同時に公明党女性局長の地位にある。被告公明党高知県本部は公明党の高知県における本部組織で、同時に政治資金規正法にもとづいて、独自の単位をなす団体として、毎年政治資金報告を行っている権利能力なき社団である。また、被告石田祝稔は、公明党高知県本部代表であり、かつ「報道21世紀」の発行兼編集責任者でもある。
(1)公明党女性局長で参議院議員である被告松あきらは、2003年1月26日高知市中央公園で開かれた公明党高知県本部主催の街頭演説会において、約1500人の聴衆を前にして日本共産党及び日本共産党高知県委員会を誹謗(ひぼう)し、その名誉を棄損することを目的として、京都民医連加盟病院での医療事故に関連して虚偽の事実を述べた上、「その不正で得た金を共産党に献金している」「(共産党は)『人の命』を利用して集めた金で、党が成り立っている。とんでもない、許せないことです」などと虚偽の演説をし、よって上記記載の事実を公然と摘示し、企業団体献金を受け取らずその禁止を主張し続けている日本共産党に対する社会的評価を大きく傷付け、日本共産党および日本共産党高知県委員会の名誉を棄損したものである。
(2)公明党高知県本部(代表石田祝稔)は、その機関紙として、「報道21世紀」を、石田祝稔を発行責任者として、発行している。そして同紙第36号(2003年2月1日付)において日本共産党及び日本共産党高知県委員会を誹謗し、その名誉を棄損することを目的として、上記松あきら演説に関する記事を第2面に、「松あきらさんの話より(要旨)」として、松あきらの虚偽の演説要旨を掲載するとともに、「人の命を利用して金を集める共産党 嘘はバレ、真実は必ず証明される!」との表題を大書し、高知県の公明党員などに配布し、よって上記虚偽の事実を公然摘示し、企業団体献金を受け取らず、その禁止を主張し続けている日本共産党に対する社会的評価を大きく傷付け、日本共産党及び日本共産党高知県委員会の名誉を棄損したものである。
(3)被告石田祝稔は公明党高知県本部代表であるとともに、「報道21世紀」の発行責任者兼編集責任者でもあるが、日本共産党および日本共産党高知県委員会を誹謗し、その名誉を棄損することを目的とし、上記松あきら演説が虚偽であり、かつ「報道21世紀」第36号の上記表題が日本共産党および日本共産党高知県委員会を誹謗中傷し、その名誉を著しく棄損することを承知しながら、同第36号を2003年2月1日付で発行し、同月5日ごろから同月20日ごろまで、高知県下の公明党員、一般県民等に配布を行い、よって日本共産党及び日本共産党高知県委員会の社会的評価を大きく傷付け、その名誉を棄損したものである。
(4)以上被告3名の不法行為は、民法第719条の共同不法行為である。
(1)日本共産党の政治資金についての態度
日本共産党が、政治資金については党員の党費と機関紙収入および個人による政治献金をその収入の柱とし、企業、団体の政治献金を一切受け取らない態度を内外に明確にし、その姿勢を貫いている政党であることは周知の事実である。
(2)公明党が、医療事故の問題をゆがめて日本共産党攻撃に利用してきた態度
公明党は、上記(1)の事実を熟知しながら、全国の医療事故・事件のなかに全日本民主医療機関連合会(民医連)加盟の病院の一部が含まれていたことを奇貨としてこの間、医療事故問題をこじつけて日本共産党攻撃を行ってきた。
その際公明党は、民医連加盟の病院の医師や職員のなかに日本共産党員がいることにかこつけて、民間病院と政党である日本共産党とは、直接何の関係も無く、全く別個、独立の存在であるにもかかわらず、医療事故を理由に日本共産党を組織的に攻撃してきた。本件名誉棄損事件もその一環である。
(3)今回の「松あきら演説」の悪質性、名誉棄損性
そのなかでも、今回の本年1月26日の高知市中央公園における本件松あきら演説は、明白な虚偽を内容とし、日本共産党の名誉を棄損し、日本共産党に対する国民、有権者の支持を失わせようという意図を明白に示した悪質極まりないものである。
まず、日本共産党攻撃の前提として、京都民医連加盟病院において検査技師が細菌培養検査を行わなかった「手抜き検査」の問題が述べられているが、医師団によるカルテ全数調査でも、外部の専門家による調査でも、「手抜き検査」と「患者の死亡」との因果関係を断定したものは何もない。ところが、松あきら演説では、「手抜き検査……の結果243人が亡くなっています」と明確に因果関係があると断定しており、明らかな虚偽発言である。
こうした虚偽の事実の発言に続けて、松あきら演説は「その不正で得た金を共産党に献金している」「(共産党は)『人の命』を利用して集めた金で、党が成り立っている。とんでもない、許せないことです」と述べている。日本共産党は企業・団体からの政治献金を一切受け取っておらず、民医連やその病院からの日本共産党への献金は全くない。「金を共産党に献金している」という発言は、全くの虚偽である。さらに、その上に立って、日本共産党に対して、「『人の命』を利用して集めた金で、党が成り立っている」と演説し、それを公明党県本部機関紙に掲載し、配布する行為は日本共産党と前記演説が行われた地域を統括する日本共産党高知県委員会に対する、許すことのできない名誉棄損行為である。
2003年1月26日高知市中央公園で開かれた公明党高知県本部主催の街頭演説会での松あきら演説は、「報道21世紀」第36号記事によれば1500人の聴衆を集めている。また、本件街頭演説を報道した「報道21世紀」第36号は、公明党員への配布のほか、一般の住戸への無差別配布も行われている。日本共産党は立党以来政治の浄化を訴え、今日の「政治とカネ」の癒着という、政治腐敗の根源を厳しく追及し、その清潔な政党としての基本姿勢を貫き、社会的評価を受けている。しかるに、本件の松あきらの演説及び公明党高知県本部の機関紙「報道21世紀」第36号での報道と頒分は、これら日本共産党に対する社会的評価を大きく傷付け、日本共産党と日本共産党高知県委員会の名誉を著しく傷付けた。そのことによる損害は極めて大きく、仮に金銭に見積もれば、少なくとも、原告両名の受けた損害は、それぞれ、金500万円を下ることはない。
以上により原告両名は各自、被告らに対し、損害賠償請求としてそれぞれ金500万円及びこれに対する本訴状送達の翌日から完済まで、民事法定利率年5分の割合による遅延損害金の支払い、並びに名誉回復のための適当な方法として、別紙(二)記載の謝罪文を、高知新聞朝刊の社会面中段に、4段抜き9・5センチメートル幅により、見出し(5・5倍ゴシック)及び謝罪文の内容の活字はA(9・5ポイント)をもって一回掲載することを請求する(民法弟723条)。
証拠方法(略)
添付書類(略)
別紙(一)
当事者目録
原告 日本共産党
代表者 市田忠義
原告 日本共産党高知県委員会
代表者 浦田宣昭
原告ら訴訟代理人
弁護士 土田嘉平
同 谷脇和仁
同 小林亮淳
被告 参議院議員 松あきら
被告 公明党高知県本部
被告 公明党高知県本部内 石田祝稔
別紙(二)
謝罪広告
私、松あきらは、2003年1月26日、高知市中央公園での街頭演説において、日本共産党の政治資金に関し虚偽の事実を述べ、公明党高知県本部機関紙「報道21世紀」は、第36号(2003年2月1日付け)において、虚偽の表題をつけ、かつ同街頭演説において、松あきらが述べた虚偽の事実を報道して、いずれも日本共産党と日本共産党高知県委員会の名誉を傷つけたことをおわびするものです。
2003年 月 日
公明党参議院議員
松あきら
公明党高知県本部
代表者 石田祝稔
石田祝稔