日本共産党

2003年3月25日(火)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

米のイラク戦争

国際秩序の根本覆す

首相「先制攻撃」認め、あわてて訂正

参院予算委 筆坂議員が首相追及


 「米国のイラクへの先制攻撃、国連憲章違反の戦争まで支持するところまで日本政府は落ち込んだ。これは世界と平和に対する背信だ」。二十四日の参院予算委員会に、日本共産党・筆坂秀世議員の怒りの声が響きました。

 世界がなぜ、米国のイラク戦争に反対するのか。筆坂氏は、世界には、(1)一般市民の犠牲が避けられない(2)国連憲章に基づく平和の秩序が壊される−−という二つの「大きな危ぐがある」からだと強調しました。

残虐兵器も

 米国は今回の攻撃で「罪のない人々が犠牲にならないよう最大限努力する」としています。ところが、米国が同じことを述べていたアフガニスタンでの対テロ報復戦争では、米国研究者の調査で、三千−三千四百人の一般市民が直接の爆撃で死亡したとされます。

 筆坂 なぜ、これだけ一般住民の犠牲が発生したのか。

 小泉純一郎首相 できるだけ罪のない人々に攻撃しないよう配慮が必要だ。

 質問に答えず、こう述べるだけの首相に対し、筆坂氏は「二つの大きな理由」があると指摘しました。

戦争は違法

 第一に、アフガン戦争では爆弾・ミサイルの15%が目標から外れ、病院や学校が爆撃されたことなどを挙げ、「『ピンポイント攻撃』といわれているが、現実には不可能だからだ」と指摘。第二に、クラスター爆弾や劣化ウラン弾など、一般市民を巻き込む残虐兵器が使用されていると述べ、「イラク復興支援が言われるが、『人の命の復興』というのはあり得ない」と強調しました。

 筆坂氏は、国連憲章が戦争を違法とし、その例外は(1)武力攻撃を受けた場合の自衛権行使(2)国連安保理による決定があった場合−−に限定していることを指摘。首相も「ご指摘の通り」と述べ、「国連(憲章)で先制攻撃は認められていない」と述べました。

 ところが、ブッシュ米大統領は、今回の攻撃にあたっての演説で「敵に攻撃されて対抗措置をとるのは自衛ではない。それは自殺行為だ」と明言しています。これは「相手にやられる前に先にやるんだという先制攻撃論」(筆坂氏)です。

 筆坂 ブッシュ大統領の演説は、総理が認めたように、国連憲章に違反する先制攻撃について述べたのではないか。

 首相 (日本政府は)アメリカの先制攻撃を支持したわけではない。

 首相はいったん、「アメリカの先制攻撃」と、今回の攻撃を先制攻撃だと認める答弁をしました。これに委員会室がざわめき、「アメリカの先制攻撃ではなくて国連決議を順守し、国連憲章に合致したもの」と言い換えました。

 筆坂氏は、日本政府が今回の攻撃の法的根拠にしている安保理決議の解釈ができるのは安保理だけで、仏ロ中の常任理事国は同決議で武力行使ができるとは解釈していないと指摘。ケネディ米大統領の補佐官だったシュレジンガー氏が「米国が世界の裁判官と陪審員を兼務し、同時に死刑執行人になることを意味する」と痛烈に批判していることを紹介しました。

 何の論証もなく「アメリカの攻撃は国連憲章に合致している」と繰り返す首相に対し、筆坂氏は「それはアメリカだけの言い分だ」「首相は、国連憲章に基づく国際秩序を根本から覆す世界に今足を踏み入れつつある」と批判しました。


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