2003年3月24日(月)「しんぶん赤旗」
世界の水問題の解決をめざそうと京都、大阪、滋賀などで八日間にわたって開かれた第三回世界水フォーラムは二十三日、「水問題を優先課題とすることは世界的にさしせまっている重要な問題」とし、そのための努力の倍増をもとめる「閣僚宣言」(琵琶湖・淀川流域からのメッセージ)を閣僚級会議で採択して閉幕しました。
昨年のヨハネスブルク地球サミットで決まった二〇一五年までに安全な水や衛生施設を利用できない人口を半減させる目標を実現するため、具体的行動をスタートさせようと開かれた今回のフォーラムの会合では、途上国への支援策にとどまらず、先進国の水資源などの管理を、多国籍企業にゆだねる「民営化」「官民連携」が大きな焦点になりました。
百一カ国・九機関の参加でまとまった閣僚宣言は、「公的な管理と法的な枠組みを確保する」と条件をつけ、多国籍企業による水の民営化につながる「官民連携という新たなメカニズム」の開発を盛り込みました。
ダムと明記しなかったものの「貯水池」開発などや、国際的な途上国支援を提起。資金投入の倍増をもとめる「世界パネルの報告」に留意し、「統合的水資源管理」を促進するとしています。
一方、同フォーラムの討論で強く訴えられた「水は人権」「先住民の権利」などが宣言には盛り込まれず、発言記録として残ることになりました。二十三日の国際閣僚級会議でも、南米などの多くの国からこれらを明記する意見が続出。ギリシャがイラク戦争をめぐって「人道的支援が必要」と発言しました。
閉会にさきだって、世界のNGO(非政府機関)が主催する総括シンポジウムが二十二日、京都市内で開かれ、世界銀行や国際シンクタンクが同フォーラムで展開した「官民連携」など水道民営化や、水資源への多国籍企業の進出に、「水は公共財」などと警鐘をならしました。