日本共産党

2003年3月18日(火)「しんぶん赤旗」

世界水フォーラムから

「水」民営化の脅威

上水道に寄生虫 料金2倍

多国籍企業独占に批判


 水道事業を多国籍企業が独占する「民営化」は京都市で開かれている第三回世界水フォーラムで大きな焦点のひとつ。環境・市民団体などが「人びとの健康よりも経済利益を優先することになる」と懸念の声をあげています。十六、十七両日の同フォーラム分科会などで、海外での事業破たんや安全な飲み水が手に入らなくなった事例などが紹介されました。

 前回の世界水フォーラムで打ち出された「水道事業の民営化」は、途上国などでの公的資金の不足をおぎない、効率的な水供給をめざしたものでした。しかし、世界で急激にひろがる多国籍企業の事業参入の影響で、「不採算地域の切り捨て」や「独占を強みに料金値上げ」「水源の排他的取り込み」にとどまらず、住民が安全な飲み水を確保できない事例もでています。

 メキシコ、フィリピン・マニラ、カナダ・オタワなどの市民団体のスタッフらが十六日夕に、メキシコ・カンクン市の民営化水道の汚い水をペットボトルで示して「多国籍企業は水という資源から利益を得ながら、人々の健康と生活に負の影響を与えている」と、批判。「水は商品としてではなく、人権として守るべきだ」と訴えました。

 十七日の分科会「ジェンダーと水と貧困」では、「世界貿易機関(WTO)や国際通貨基金(IMF)、世界銀行(WB)などの国際金融・貿易機構がますます世界的な水資源政策を決定するようになり、政府がこうした圧力のもと、国内資源の管理を放棄してしまうので、多国籍企業が水供給の権利を持つ」(女性環境開発団体「WEDO」)と、警鐘を鳴らしました。

 十七日会見した南アフリカのロニーカスリルス・水と森林担当大臣は「(水道・衛生事業で)民間部門は重要なパートナーだが、しかし、民営化は受け入れられない」とのべるなど、多国籍企業の独占に道をひらく自由化・民営化への危ぐが広がっています。

 「民営化」問題は、途上国にとどまらず、欧米でも進行。英国イングランド地方では、水供給会社の利益は七倍に跳ね上がる一方、料金二倍になり解約者が増え、英国医療協会が健康をおびやかされていると警告する事態に。水道料金が二倍になったシドニーでは上水道に寄生虫が含まれていたことが住民に知らされませんでした。

少数民族代表苦境を訴え

 第三回世界水フォーラムで、北米、中米、オーストラリア、ニュージーランド、アフリカ、クック諸島の少数民族の参加者が十七日夕、水の多国籍企業による管理の世界的な進行の影響と危険について記者会見し「先住民族の社会は、これまでみずからの要求や意見を反映しない水政策で苦しい立場におかれてきている」と訴えました。

 現在、少数民族がたたかっている運動は、企業の水支配で苦境にたたされているみずからが、水を管理し続ける権利を主張したものだとアピールしました。


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