日本共産党

2003年3月15日(土)「しんぶん赤旗」

大幅減給、諸手当廃止

女性だけ契約社員!?

東武鉄道系栃木のゴルフ場

キャディーや保育士が裁判に


 東武鉄道直営のゴルフ場・宮の森カントリー倶楽部(栃木県壬生町)に働く女性たちが、正社員の職を一方的に奪われ契約社員にさせられました。こんな違法は許せない、女性差別だと二十七人の女性が、身分変更や解雇撤回を求めて宇都宮地裁に訴えています。


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「一方的な労働条件変更、女性差別を許さない」と裁判に立ち上がった女性たち=栃木県壬生町、宮の森カントリー倶楽部

 宮の森カントリー倶楽部は、東武宇都宮線安塚駅から車で約十分。県内屈指のゴルフ場です。

 キャディーとして勤続十二年の柿沼静子さん(46)は、「身分の変更は、キャディーと保母(保育士)の女性ばかりです。東武鉄道からの出向者を含む男性社員は、一切の変更はありません。女性差別です。泣き寝入りは、したくありません」と提訴した胸のうちを語ります。

 同僚の早乙女ちいさん(52)も、「会社のことを信じていただけに、一方的すぎます」と憤りをぶつけます。

 ゴルフ場を運営していた東武スポーツ(東武鉄道の100%出資子会社)の社長が、キャディーと託児所の保育士だけ(全員女性)を集めて「三月末でキャディーと保母すべて解雇。四月から一年契約の契約社員として再雇用する。託児所は閉鎖」と突然、いい出したのは二〇〇二年一月。赤字経営だからというのです。

 再雇用契約の提出期限は、二週間後でした。「すぐには就職口なんか見つからないからとりあえず出しとけ」「早く出さないと首になるぞ」と上司は、毎日のように催促しました。

基本給も廃止

 託児所があるので「子育てしながら働ける」と母子家庭の人も多く働いていました。託児所がなくなり働けないと十二人が職場を去りました。「納得できない」と契約書を書かなかったキャディーやキャディーになるのを断った保育士四人は解雇されました。

 「給料は、さほど変わらない」といわれ、しぶしぶサインした人たちも、四月になって周知された就業規則を見て、ビックリ。基本給をはじめ家族手当、皆勤手当などの手当が廃止され、昇給・退職金なしの出来高払いです。実質40%程度の減給になっていました。

怒りが噴出

 川口かね子さん(52)の場合は、二十一万二千円あった収入(前年四月、十九日間勤務)が十万七千円(十八日間)に半減しています。

 「話が違う」「だまされた」−女性たちの怒りが噴出しました。「でも、どうしたらいいの」

 そんな時、保育士の一人が持ってきた一枚のビラ。そこには、こう書かれていました。「ひとりでも入れる労働組合。何でも相談してください。とちぎ労組」

 「ここ、信用できるの?」「私たちも困っていることだし、一応、説明を聞いて判断したら…」というわけで、話を聞くことになりました。

 「会社のやり方は、不当です」と話す組合役員。

 「会社のいうことは、従って当然」と思っていた川口さんは、「対等な立場で団体交渉を」という話に驚きました。「これまでは、不満に思っていても、どうすればいいか分からなかった」という稲見すみ子さん(45)は、「泣き寝入りしなくていいといわれたのがうれしかった」と話します。

組合を結成

 キャディーと保育士全員の三十七人で組合を結成し、くりかえし団体交渉。会社は、他のゴルフ場に応援に行った際の助勤手当や、有給休暇の未払い賃金の一部を支払いました。しかし、雇用契約の一方的な変更は、「有効だ」とくり返すばかりです。

 「女性だからといって、いわれるままにするのは、もうたくさん」と解雇された人も含めて裁判に踏み切りました。

 原告代表として、第一回公判で意見陳述をした臼井道子支部長(46)は、話します。「まじめに働いてきた私たちを裏切ったのは、東武鉄道です。不況の中でも東武鉄道は利益を上げているといわれているのに、一番弱い女性だけを切り捨てる。こんなやり方は、絶対に許せません。全従業員が差別されず働ける職場にするためにも、この裁判で勝ちたい」

 支援先 とちぎ労組(栃木労連・栃木県一般労働組合)東武スポーツ支部 TEL028(645)7644 ファクス028(645)5261


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