2003年3月5日(水)「しんぶん赤旗」
中教審の教育基本法見直しは、多くの問題点があり審議の中止を含めて慎重審議を、と日本教育学会など教育学関連二十五学会の会長が四日、文部科学省などに要望書を提出しました。
多数の教育学関連学会会長が連名でこのような要望書を政府に提出するのは極めて異例です。要望書は、憲法の精神と遊離した改正は教育基本法を変質させるとし、安易な改正でなく、生かすことが求められていると指摘しています。
要望書は「たくましい日本人」「国を愛する心」などの教育目的を新たに規定する法改正は、国民の思想・信条の自由を侵害し、憲法違反のおそれがあるとしています。
今日の教育の危機を、法改正によって解決する根拠や見通しが定かでなく、むしろ教育基本法が禁止する「不当な支配」が強まるなど、教育がいっそう困難になると懸念しています。法改正の国民的合意はなく、審議の手続きも公正・民主的でなく、審議も低調で、学術研究の成果が生かされていない、と批判しています。
東京・学士会館で記者会見した日本教師教育学会会長の三輪定宣氏は「国家を左右する法律改正に教育の専門家のヒアリングがまったくないのは異常だ。会長の態度表明は、教育史上前代未聞であり、行政にあたる者は、その憂慮を理解してほしい」とのべました。
「教育基本法の見直しに対する要望」を提出した教育学関連二十五学会会長はつぎのとおりです。
奥田和弘(日本キリスト教教育学会会長) 小澤周三(日本産業教育学会理事長) 小島弘道(日本教育経営学会会長) 神辺靖光(全国地方教育史学会会長) 絹川正吉(大学教育学会会長) 桑原敏明(日本教育制度学会会長) 榊達雄(日本教育行政学会会長) 柴田義松(日本教育方法学会会長) 島田修一(日本社会教育学会会長) 清水貞夫(特別なニーズ教育とインテグレーション学会会長)
竹内登規夫(日本進路指導学会会長) 津守眞(日本保育学会会長) 寺ア昌男(日本教育学会会長) 延岡繁(日本国際教育学会会長) 原聡介(フランス教育学会会長) 藤井敏彦(日本ペスタロッチー・フレーベル学会会長) 藤田英典(日本教育社会学会会長) 藤田昌士(日本生活指導学会代表理事) 逸見勝亮(教育史学会事務局長) 堀尾輝久(日本教育法学会会長)
嶺井正也(日本教育政策学会会長) 三浦軍三(日本公民教育学会会長) 三輪定宣(日本教師教育学会会長) 吉野公喜(日本特殊教育学会会長) 米田伸次(日本国際理解教育学会会長)