2003年3月3日(月)「しんぶん赤旗」
日本共産党の筆坂秀世政策委員長は二日、NHK「日曜討論」に出演し、イラク・北朝鮮問題について討論しました。出演したのは自民・麻生太郎、民主・枝野幸男、公明・北側一雄、自由・藤井裕久、保守新・井上喜一の各政調会長、社民・大脇雅子政審会長です。
イラク問題で、米英などが国連安保理に提出した新決議案について公明党の北側氏が「出すこと自体に非常に意味がある。イラクへの圧力になっている」とのべたのに対し、筆坂氏は「アメリカは圧力だけで終わる国ではない。決議案は武力行使に道を開こうとするものだ」と反対を表明。査察の継続強化で大量破壊兵器をなくそうという国際社会の一致した粘り強い努力があり、「戦争の道に突き進むという対応をとるべきではない」と強調しました。
筆坂氏はまた、政府が新決議案を支持すべきだという自民党の麻生氏の発言に反論しました。
麻生 日本はミサイル攻撃を受ける可能性のある国が近くにあり、それに報復する力を日本は持っていない。イラクの問題と北朝鮮の問題はかなりリンクしていると考えるべきで、頼るべきは日米安保条約しかない日本と、仏独とはかなり違う。(日本は)アメリカとの関係を友好に維持することに腐心すべき立場に立たざるをえない。
筆坂 いま麻生さんは政府を代弁して率直に言われたが、三つ問題がある。一つは、ここでイラクをたたかなければ北朝鮮との関係でバランスが取れなくなる、誤ったメッセージを送るという最も危険な論理だ。しかし、もしイラクを攻撃すると、同じ(アメリカが言っている)“悪の枢軸”北朝鮮を攻撃する論理につながっていく。
二つ目には、世界がなぜ平和解決を望むかというと、罪なき人々が犠牲になるからだ。バグダッドには五百万人の市民がおり、国連報告でも五十万人が直接の死傷者になる、二百万人が国内避難民になると。それを考慮せず支持するという身勝手さがある。三つ目には、国際協調とよく言うが、実態はまさにアメリカ追従以外の何ものでもない。いまの発言で非常に端的に現れたと思う。
麻生氏は、アメリカが新決議なしで武力行使を強行した場合の対応として「支持するにこしたことはない。支持でも理解でもいいが、やり方はいろいろある」と肯定。北側氏は「平和解決はイラクの対応による。イラク問題で国際社会がバラバラになったら大変だ」とのべました。
野党は「決議なき武力行使に反対」(枝野、藤井氏)、「決議があろうとなかろうと武力行使には反対」(大脇氏)との立場を示しました。
筆坂氏は武力行使に断固として反対と重ねてのべ、「政府は日米同盟優先でなく、国連と国連憲章、国際ルール優先に戻るべきだ。平和解決の方向へ最大限努力をする立場に今からでも立つべきだ」と主張しました。
北朝鮮の核開発問題について筆坂氏は、昨年九月十七日の平壌宣言を「核問題の包括的解決と、ミサイル問題についても関係諸国間での対話で解決を図ると確認している重要な合意だ」と指摘。日米韓のほか中国、ロシアなど関係諸国間での対話を進めるべきだとのべました。北側氏も「北朝鮮は平壌宣言を非常に重視していると聞いている」とのべました。