日本共産党

2003年3月1日(土)「しんぶん赤旗」

国立大学法人法案に反対します

「学問の自由」は民主主義の根幹

企業の下請けにしてはいけない


 国立大学法人法案の提出に多くの学者・文化人が反対を表明しています。「大学改革を考えるアピールの会」(呼びかけ人代表=池内了名古屋大学教授)によせられた賛同メッセージから5氏を紹介します。また、小出昭一郎、諸井昭二の両氏に談話を寄せてもらいました。



赤川次郎さん(作家)

 大学を企業の下請け機関にしてはいけません。


佐野洋さん(作家)

 「大学の自由」「学問の自由」は民主主義の根幹をなすものです。「聖域なき構造改革」と言いますが、「大学の自由」は聖域であるべきです。


田沼武能さん(写真家)

 大学を法人化すればもうかる学科に力が入り、基礎学問や哲学などという学科は消滅する恐れがあります。問題が大いにあります。


増田れい子さん(ジャーナリスト)

 大学の歴史をゆがめる改革(?)を平然とやろうとする神経におどろきます。つまりは市場原理の導入をもくろんでのことです。大学をカラッポなものにしたいたくらみに反対します。


柳田邦男さん(ノンフィクション作家)

 学術研究と教育は、画一的なコスト効率主義に支配されると殺される。二十世紀に浸透した合理主義・効率主義の侵食力をこのあたりで方向転換しないと、二十一世紀は「非人間性の世紀」になる。


管理強化の不純な動機

山梨大学元学長 小出昭一郎さん

 まず感じるのは「また見きり発車だな」ということである。これまでの大学自身の改革の努力は生かされず、事態は悪い方向へのみ向かってきた。疑似「改革」で枠組だけがいじくり回されてきた。

 もともと、公務員定数の大幅削減を達成するための法人化であり、さらにこれに便乗して大学の管理体制を一挙に強化するのが狙いだ。不純な動機なのである。

 文部科学相が国立大学の中期目標を定めるとなっているが、自発性に基づいてやらなくては、創造的な研究はできない。評価にしても、これでは書類の山を作るだけだ。だいたい、一生かかってこつこつやる仕事をどう評価するのか。これで政府が目標とするようなノーベル賞の大幅な増大を期待することができるのだろうか。


伝統ある学術が停滞

指揮者・作曲家 諸井昭二さん

 国が大学を牛耳っていくための法案です。大学にとって大切な自主性を奪おうとしている。戦前、国が大学へ介入し、音楽も権力に利用された歴史があります。学問・教育の自由が脅かされることは、あってはなりません。

 その一方で、国が財政責任を負わなくなり、大学の民営化につなげていこうというものです。

 統制と評価の中で、目先の問題に専念することが求められ、ノーベル賞を生んだ日本の伝統ある学術が停滞するのではないでしょうか。

 「構造改革」と称して、さまざまな機関の民営化が行われ、文化活動の上でも障害になっています。国立大学の半民営化などは、決して、許してはなりません。




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