2003年3月1日(土)「しんぶん赤旗」
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沖縄本島北部にある名護市辺野古沖の米軍新基地建設予定地に、国の天然記念物・ジュゴンの好物である海草藻場が広範囲に存在していることが、日本自然保護協会の調査で分かりました。
沖縄本島北部は絶滅の危険にあるジュゴンの生息域として世界最北限とされ、辺野古沖の藻場は同島最大規模。このため同協会は「基地建設の計画がこのまま進めば、沖縄近海のジュゴンは絶滅しかねない」とし、調査結果を三月上旬に米国防総省などに送り、同計画の中止を訴えます。
政府はこれまで、米軍新基地の建設予定地に、被度(海底を海草が被っている度合い)25%以上の藻場がかかるのはわずかだとだけ説明してきました。ところが、同協会が昨年から定期的に行ってきた調査によると、政府の資料では明らかにされていない被度25%未満の藻場が、新基地建設予定地にかなりの範囲で広がっていました。(図)
しかも、調査をした吉田正人・同協会常務理事によると、辺野古沖に自生する海草七種のうち被度10%未満の場所にジュゴンが最も好むウミヒルモが分布。吉田さんは「基地が建設されたら、ウミヒルモは全滅の危険もある」といいます。
加えて、新基地建設予定地にあるリーフ(サンゴ礁)には、ジュゴンがリーフ内の藻場に入りこむための「クチ」と呼ばれる切り目があります。吉田さんは「基地をつくればクチがふさがれ、ジュゴンがえさ場に入れなくなってしまう」と警告しています。
米軍新基地 日米両政府は、沖縄の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる最新鋭基地を、県民の強い反対世論を無視し、同県名護市辺野古沖に建設しようとしています。新基地の規模は全長二千五百メートル、幅七百三十メートル。建設方法は埋め立てです。政府は建設強行に向け、環境影響評価の方法を定める文書(方法書)を七月末までに作成し、年内に関係自治体や住民から意見を聞く予定です。