2003年2月27日(木)「しんぶん赤旗」
栃木県内の土地改良区による
栃木県農地計画課調べ |
栃木県で二〇〇一年に発覚した、土地改良区による自民党費と土地改良政治連盟(委員長・西川公也自民党衆院議員)の会費の違法な立て替え問題で、自民党栃木県支部連合会が返還に応じていないことが二十六日までに本紙の取材で明らかになりました。
自民党が返金を無視しつづけている党費は、一九九六年度から二〇〇〇年度までの五年間に、県内の延べ五百六十一の改良区が「立て替え払い」した合計八百三十七万九百五十円。
立て替え問題は、〇一年に日本共産党の笠井亮参院議員(当時)が栃木県内での実態を国会で追及、農水省がその違法支出を認めました。栃木県はこれをうけて立て替えの実態を調査し、同年四月に結果を公表しました。それによると約三百六十の土地改良区の約三割で毎年、自民党費と土地改良政治連盟会費を立て替えていました。
県農務部は、改良区にたいし立て替え分の返還を指導、「各区の理事長から、昨年までにすべて返還されたとの報告を受けているが、自民党が返還したとの話は聞いていない」といいます。改良区によっては欠損処理したり、理事長ら幹部が自腹をきったとされています。
自民党栃木県連は本紙の取材に返金していないことを認めた上で、「党費の立て替えは、県連が指導したものではない。(返還は)土地改良区の問題だ」(佐藤明男事務局長)と話しています。
土地改良区は、土地改良法にもとづく公共法人で、事業費は、国や都道府県からの補助金と農民の負担金でまかなわれており、改良事業以外に使うことは禁じられています。党費や政治団体会費の徴収行為もできません。
しかし栃木県内では、県による改良区ごとの会計・事業内容の検査や是正指導を無視した事態がつづいています。
国や県の指導がはいったわずか半年後の二〇〇一年十月、政治連盟の西川委員長はこんな文書を各改良区に送りつけました。
党費や連盟会費の立て替えが「不適法だとして国及び県の指導により返還措置が講じられたことはご承知のとおり」「当連盟が事件の端緒になり…お詫びし、深く反省」しているとしながらも、「事情をご賢察の上、よろしくお願いします」。事実上の「支出」継続の要求です。
昨年九月も、党費納入依頼を送付していたことが、今月十九日、日本共産党・さいとう洋三県議の調べで発覚しています。