日本共産党

2003年2月27日(木)「しんぶん赤旗」

腎性貧血治療薬

診療報酬支払え

県国保連に横浜地裁 原告・医師に勝利判決


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横浜地裁の判決後、報告集会であいさつする中井医師=26日、横浜市

 人工透析をうける慢性腎不全患者が腎性貧血を併発した場合に投与される注射薬・エリスロポエチン(EPO)について、請求した診療報酬の一部を支払わないのは不当として、川崎市の中井洋医師(53)が神奈川県国民健康保険団体連合会(県国保連)を相手に、診療報酬などの支払いを求めた裁判の判決が二十六日、横浜地方裁判所でいいわたされました。

 西村則夫裁判長は原告のEPO投与は「適正な療養の給付範囲内」として、診療報酬の未払い分(一九九八年八月から二〇〇一年十月まで)の全額、約二百四十万円を支払うよう県国保連に命じました。

 判決で、EPOの取り扱い説明文書に貧血の改善目標として「ヘマトクリット値が30%前後」とあるのは、「36%まで含まれる」とする原告の解釈を認めました。被告の「30%を超える投与は例外的な必要性がある場合のみ」という主張は退けました。

 神奈川県では、ヘマトクリット値が30%を超える患者にEPOを投与すると、県国保連の査定で診療報酬が支払われないといわれ、医療機関がEPOの投与を控える傾向にありました。そのため、神奈川県の患者の同値の平均は、都道府県で四十五番目と最低レベル。患者は貧血で臓器の酸素が不足し体力が低下。日常生活での動作すら困難になる場合もあります。

 判決後、横浜市内で開かれた報告集会に七十人の透析患者ら支援者が参加。原告側の田辺幸雄弁護士が「完全勝利です。常識的で充実した判決。勝因は、全国の患者と医師、研究者からの大きな支援」と報告すると、大きな拍手が。

 中井医師は「医療の使命は国民の健康と命を守ること。私はそのための治療をしてきた。しかし、県国保連は闇のなかで査定。『不正請求』などと呼ばれた。医療費抑制という経済論を優先してはならないことを裁判で示すことができた」。

 全国腎臓病協議会の小林孟史事務局長は「万歳と叫びたいほどうれしい。去年、診療報酬改定で透析の治療食が切られ、透析時間も短縮した。この再改定運動のはずみとなる判決」と喜びを語りました。


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