2003年2月25日(火)「しんぶん赤旗」
「数字が達成できないと灰皿投げつけられた」「会長の年頭の辞を三十分唱和させられた」。サラ金業界最大手の武富士(本社―東京・新宿区)の暴力的に恐怖心を植えつけて長時間のサービス残業を強いる実態が二十四日、東京地裁で開かれた未払いの残業代の支払いを求めた訴訟の第一回口頭弁論で明らかになりました。
同社支店長経験者など埼玉、千葉などに住む二十代から四十代の男女十人が総額約一億六千百万円の支払いを求めて訴えたもの。この日の口頭弁論で、原告の本社検査室に勤務していた元社員(46)が長時間過密労働の実態を陳述しました。
「二時間ごとの数字のチェック。本社へ呼び出されて数名で詰め寄られる」「ノルマが達成できなければ、一挙に給料が下がり支店長から一般社員に降格」……。人権を侵害した武富士の強制労働の実態を告発した元社員は「武富士の法令違反の賃金未払い・恐怖の人事政策について、民主主義の世の中で許されるものなのか、ぜひ、裁判所の判断を」と陳述を結びました。
武富士のサービス残業をめぐっては、厚生労働省大阪労働局が一月九日、労働基準法違反の疑いで本社などを家宅捜索。今月二十日には、同社にサービス残業の支払いを求めて提訴していた御木威(おんき・たけし)さん(29)ら元社員二人に謝罪し、サービス残業代全額を支払うこと、現社員にも時間外労働をさせた場合は割増賃金を支払うとの和解が大阪地裁で成立しています。