2003年2月23日(日)「しんぶん赤旗」
都道府県・市町村が供給する公営住宅は、不況や高齢化にともなう生活困窮所帯を中心に依然として大きな役割をになっています。ところが国の公共住宅放棄政策とあいまって多くの自治体が、公営住宅の新増設をおこなわず、受益者負担の原則に伴う減免制度の改悪や家賃値上げを進めています。こうしたなか、日本共産党は「住まいは人権。安心して住み続けられる公営住宅を」と住民とともに奮闘しています。
|
灯油とくらべ割高なガス暖房について「料金が高く寒い。なんとかしてほしい」という切実な声が札幌市の住民から出されていました。日本共産党は地域の人々と共同してガス料金値下げ運動にとりくみ、札幌市や北海道ガス(北ガス)とねばり強く交渉。二〇〇一年十一月に市営住宅(札幌全体での対象戸数三千五十戸)でガス料金の約18%値下げを実現、さらに今年二月から約5%の再値下げが実現しました。
札幌の市営住宅は二万六千戸あります。近年、新築や建て替えで十階建て以上の高層住宅が増え、北ガスのガスセントラル給湯暖房システムが採用されています。
このガス暖房は、灯油暖房と比べ熱効率が悪く室温が上がらないのに料金が割高で、一冬で十万円をこえる家庭が続出しました。ガス料金の値下げをもとめる切実な声が広がり厚別区ひばりが丘団地では、党支部が六百五十世帯からアンケートを取り住民の要望をまとめ、「厚別区民要求を実現する連絡会」(地域の四団体で構成)とともに札幌市やガス会社との交渉を進めました。
日本共産党札幌市議団は、〇〇年三月議会の代表質問および〇一年十月議会の決算特別委で小川勝美市議が値下げを求め、市理事者は「十一月から平均18%引き下げる、さらに引き下げを北ガスに要請していく」と答弁、値下げが実現しました。一般用と暖房用のガスメーターの一本化による安い新料金体系に切り替える工事費約一万円は市の負担にしました。
昨年九月には、児玉健次衆院議員同席のもと札幌市議団は深刻な国保問題などとともに、このガス料金問題を取り上げて政府と交渉しました。
市営住宅と民間マンション(三万戸のうち新料金体系に切り替えた一万四千所帯分)の再値下げ額は年間一億円。前回分も含めると五億円になります。(小沢伸治・日本共産党札幌市議団事務局長)
|
神奈川県には現在、約四万五千戸の県営住宅があります。入居応募状況はこの十年間平均七・七倍、昨年は十二・九倍になっているにもかかわらず、県は来年度の住宅整備費を九八年度比で48・2%に削減し、民間建築の「買取り借上げ住宅」にシフト、維持整備費も61%に削減しました。
そのため老朽化し修繕が必要な住宅でも、予算がないという理由で修繕がすすまない状況です。
昨年十月から日本共産党県議団は、県営住宅居住者へのアンケートを作成し全戸に届けました。回答はすでに四百六十通を超え、中には党への信頼を寄せつつ修繕の切実な要望がぎっしりと書かれているものもありました。
二月六日には、これらを第一次分としてまとめ県住宅管理課に(1)新規の県営住宅の建設(2)家賃値上げを抑えるなど二十一項目にわたって申し入れをおこないました。とくに不況のなかで家賃を滞納しているために家賃減免を受けられず、ますます払えなくなっている人たちの現状も知らせ、減免制度を適用するよう求めました。
アンケートの「なんでもひと言欄」には、「もっと国民が泣いていることを真剣に考えてもらいたい。老人が安心して暮らせる社会にしてほしい。医者に行くお金がないからがまんしているんです」「医療費の負担増や年金の引き下げで明日の生活が不安でたまりません」「共産党の考え方は他党より一番わかりやすいです。私たち一家は最近共産党を応援しています」「アンケートのようなことを繰り返し実施し住民の声を集約してください」「歴史を見通す力をもった言葉で日本中に発信してほしい」などが書かれていました。 (小池孝夫・日本共産党神奈川県議団事務局)
一九九六年、日本共産党以外の賛成多数で公営住宅法が改悪されました。以降、公営住宅の国と地方の政策は、新規建設から住宅の建て替えや住戸改善などに重点を移してきました。また入居者の所得基準を引き下げたため、居住者の高齢化と低所得化が急速にすすみました。
現在、自民・公明の小泉内閣のもとですすむ市場任せの動きが、これにいっそうのおいうちをかけています。
東京都は、昨年二月「東京都住宅マスタープラン」を発表。石原知事自身、東京都住宅政策審議会が答申で提言していた「公営住宅の建設を中心とした従来の直接供給型の政策を抜本的に見直すとともに、民間住宅市場の整備・誘導を進める新たな施策を展開する」を踏まえて策定したと記しています。都営住宅の新規建設を二〇〇〇年度からゼロにするとともに、期限付き入居制度や、一人暮らしの2DKの入居を突然1DKしか認めなくするなどの「型別供給」を強行する事態がすすんでいます。
大阪府も、土地を購入して新規建設することをやめ、府営住宅の建て替え事業は民設公営(PFI)方式によってすすめ、この五年間で二百六十億円相当の残地を民間企業に払い下げる計画です。
東京では、空き家募集の入居競争率が約三十倍、新規募集が百倍となっているように、全国的に公営住宅が圧倒的に足りないのが実態です。民間企業の利益優先ではない、公営住宅を大量に建設することが求められています。
また、「四日間の食費を千円で済ませ、なんとか家賃を払っている」(神戸市営住宅)という実態は切実です。千葉県議団がおこなった家賃減免の申請運動は、「月二万円も安くなった」と大変喜ばれました。減免措置の拡充や建て替え後の家賃の抑制、住みつづけられる家賃制度にすることも切実です。
エレベーターやインターホン、高齢者・障害者向けの手すりの設置など、国が費用の二分の一を補助する制度が新たに設けられました。これを大いに活用した要求実現運動も大切です。
群馬県前橋市では、お金がないといっていた行政を動かし、二億円の予算をつけて市内全戸のベランダの改修を実現しました。