日本共産党

2003年2月22日(土)「しんぶん赤旗」

2003年度予算案

どうなる女性のくらし、家計

「痛み」おしつけ くっきり


 医療や厚生年金の保険料アップ、医療費の負担増、年金、失業手当の支給額引き下げ、増税……政府の来年度予算案はくらしと家計直撃の負担増がめじろおしです。施政方針演説で小泉首相は「男女共同参画社会の形成」を強調しましたが、女性にかかわる分野でも「痛み」のおしつけ、男女平等に逆行する姿がくっきりです。


図

共同参画・雇用均等予算が削減

 男女共同参画社会基本法の制定から五年目の予算ですが、内閣府の男女共同参画予算は四億円で今年度より四百万の減。

 基本法は男女差別などの被害者を救済する「必要な措置」を定めています。しかし、予算化されているのは、諸外国で実現している独立した苦情処理・救済機関とは違い、すでにある行政機関の活用を前提にした研修費、パンフレット作製などにとどまります。

 働く女性の予算では、男女雇用機会均等法にもとづく行政指導や紛争解決のための予算が約一千万円削減。能力発揮のための積極的取り組み関連も六千万円減です。

 パート労働者は千二百万人を超え、約七割は女性で、正規との賃金格差は広がる一方です。政府は均等待遇の法改正を求める切実な声に背をむけ、パート対策予算も連続削減。「均衡ルール」の定着、パート助成金の交付、情報提供・相談などのパート労働対策は約二億円削減し総額二十億円です。

 一方、残業や転勤ができない正社員にあらたな差別をもちこむ「短時間正社員制度」の導入・普及に、新規に二・五億円が計上されています。

 育児休業の取得をすすめる企業への助成制度(一企業七十万円)が創設されます。

「待機児ゼロ作戦」いうが…

 保育所関係の予算は、前年度比2・55%の増額です。「待機児童ゼロ作戦」をかかげ、来年度予算で四・五万人の保育所受け入れ人数を増やすとしています。地域子育て支援事業の強化や、延長保育、休日・一時保育、学童保育などの個所数増がもりこまれています。

 しかし待機児約四万人、無認可施設に二十万人以上というもとで、公的責任で解決するには不十分です。一般会計にしめる保育所運営費予算の比率は0・52%で、最高時一九七七年の0・83%に及びません。

 障害児の保育事業予算三十三億円は一部を残して全額カット(地方交付税へ)。乳児保育は補助対象から公立保育所をはずすなどで三十四億円の削減。国の公的責任の重大な後退です。

母子家庭の命綱連続削減

 約百万世帯にのぼる母子家庭ですが、平均年収は約二百二十九万円にすぎません。そのくらしを支えている児童扶養手当が二年続けて削減されようとしています。所得制限の強化で昨年八月から三十三万人が減額されたばかり。さらに物価下落にあわせて支給額を減らし、給付総額は四十四億円の大幅減。昨年は支給期間に制限をもうけるなど制度改悪もおこなわれました。国民にあまりにも冷たい自民党政治を象徴する内容です。

配偶者特別控除廃止で大増税

 専業主婦や収入百三万円以下のパートで働く主婦の家計に影響するのが配偶者特別控除の廃止です。サラリーマンの夫と専業主婦、子ども二人、年収五百万円の世帯で所得税と住民税をあわせ年四万五千円の増税に。千二百万世帯、総額七千三百億円の大増税です。

女性への暴力対策は増額

 世論と運動で拡充が図られたものもあります。二〇〇一年に日本共産党も加わる超党派で配偶者間暴力防止法が制定。被害者の受け入れ体制の拡充など党議員団は連続して国会でとりあげてきました。今年十一億七千万円、来年度は十四億円へ増額されます。児童虐待防止予算も増額され四十八億円に。国立病院にはじめて女性専門外来設置の予算が組まれるなど、母子医療関連は前年度比十六億円の増額。食品安全対策は、要求と運動の力もあり二十二億円の増額。新婦人の請願も力になって輸入食品の監視員は十五人増員されます。

 日本共産党国会議員団は二十日、社会保障負担増と庶民増税など四兆円の国民負担増の中止、国民のくらし中心の予算へ転換する抜本的な組み替え要求を発表しました。国民と女性の願いを反映させる、世論とたたかいが求められています。

 (日本共産党女性委員会事務局・米沢玲子)


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