2003年2月21日(金)「しんぶん赤旗」
国内最大手の消費者金融・武富士(本社・東京都)を相手に、サービス残業代の支払いを求めて提訴していた二人の元社員と武富士との和解が二十日、大阪地裁で成立しました。武富士が元社員に謝罪し、サービス残業代の全額を支払うとともに、現社員にも時間外労働をさせた場合は割増賃金を支払うとする画期的な内容となりました。
訴えていたのは元JR天満駅前支店長の御木威(おんき・たけし)さん(29)と女性(27)。和解条項では、一九九八年十月から二年間分の未払い残業代と退職金を含む解決金として御木さんに四百三十万円、女性には百六十万円を支払い、両氏に謝罪するとしています。現社員には正確な労働時間の管理に努め、時間外労働には割増賃金を支払うなどとなっています。
御木さんらによると、武富士ではタイムカードもなく、ほとんどの男性が午前七時半から午後九時まで仕事をし、月百十時間ほどの時間外労働をしているにもかかわらず、時間外賃金は会社からの指示で最大二十五時間までしか支払われていませんでした。
御木さんらは二〇〇一年四月に提訴、同年七月に天満労基署にも告発し、今年一月、大阪労働局がサービス残業をさせていた疑いで全国七カ所を強制捜査。東京都でもサービス残業支払い訴訟が起こるなど、同社の社会的責任が問われていました。
記者会見した御木さんは、「謝罪し、今後、現社員に労働時間の正確な管理と時間外の割増賃金を支払うということを認めたことでは満足しています」と語りました。