2003年2月21日(金)「しんぶん赤旗」
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「政治とカネ」をテーマにした二十日の衆院予算委員会の集中審議で、日本共産党の木島日出夫議員は、定期借家制度導入を決めた法案成立の裏に、多額の政治献金があったことを明らかにしました。
借家人の追い出しを簡単にする定期借家制度は、大手の建設業界や不動産業界のつよい要望でした。しかし法務省も「国民生活、産業全体に重大な問題を生じさせるおそれがある」(九六年十一月)と懸念を示し、九八年六月提出の法案は、一度も審議されませんでした。これが「異常ずくめ」の経過でひっくり返ったのです。
木島氏は、(1)法務委員会で審議付託中にもかかわらず、立法目的の同じ別の法案が装いをかえて衆議院に提出された(2)それが前の法案が付託されている法務委員会でなく建設委員会に付託された(3)重大法案にもかかわらず、きわめて短時間で採決―の三点の異常を指摘。不動産業界のトップが政治家に働きかけた生々しい経過を示す資料(別項)を次々と紹介し、全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)の政治組織である全国不動産政治連盟(全政連)から法案提出者に渡った献金リスト(別表)を示して、「徹底調査をすべきだ」とただしました。
「調査の必要はない」と答弁する中馬弘毅・国土交通副大臣にたいし木島氏は、全国宅地建物取引業協会連合会の藤田和夫会長(東京都宅地建物取引業協会・東京不動産政治連盟会長も兼ねる)が、一九九九年七月十三日、自民党三役、国対委員長と会談し、新法案で国会に提出し直す相談をしたことを示す資料を提示。法案買収の疑惑を解明するため、藤田和夫氏、法案筆頭提案者である保岡興治衆院議員(自民)の参考人招致を要求しました。
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東京不動産政治連盟・第二十七回年次大会(二〇〇〇年五月二十九日)「平成十一年度の主な活動経過」から
…法務省等が導入に消極的な姿勢であったこと等により、…早期導入に向けた陳情・請願活動は、困難を極めた。…この状況を打開したのが、藤田会長の獅子奮迅の陳情・請願活動と業界の結束した支援活動であった。「借地借家法の一部改正法案」を取り下げして、新たに法案を作成、提出し、付託先の委員会を換えるという奇策に賭けるものであった。
新法案は…自民・自由・公明党の三党の議員提案により、第百四十五回通常国会に提出され、会期末の(一九九九年)八月十三日、法務委員会から建設委員会への付託換えが決定した。
月刊「宅建」(東京都宅地建物取引業協会発行)二〇〇〇年三月号より
…定期借家法案成立に伴い、定期借家推進協議会は昨年(一九九九年)十二月二十日、霞ヶ関ビルで「定期借家制度創設報告会」を開催した。冒頭、挨拶に立った代表世話人の藤田本会会長は「念頭の法案が成立したのは、付託先を法務委員会より建設委員会に変更したことであり、業界、政治家、識者がガッチリ手を組んだ成果である…」と意欲のほどを語った。
月刊「宅建」二〇〇〇年一、二月号より
この状況(九八年提出の法案成立で定期借家制度の導入を図る目論見が狂ったこと)を救ったのは、第百四十五国会開会中の昨年(一九九九年)七月十三日の、自民党三役・国対委員長・藤田協議会世話人(本会会長)会談で、この時、「借地借家法一部改正案」を取り下げ、別の新法案を作成し国会提案の出し直しを図る、という可能性をツメていくことが確認されました。