2003年2月19日(水)「しんぶん赤旗」
自民党長崎県連の違法献金事件で公共工事受注企業からの献金が大きな問題となった今月初めごろ、自民党がゼネコンの業界団体・日本建設業団体連合会(会長・平島治大成建設会長、日建連)に約三億円の献金を要請していたことが十八日、本紙の調べでわかりました。日建連担当理事は本紙の取材にこの事実を否定せず、さきに熊谷組の取締役に政治献金返還を命令した福井地裁判決との関連からも「経営者の判断は慎重にならざるをえないだろう」と話しています。
ゼネコン関係者によると、自民党の政治資金団体「国民政治協会」から日建連へ献金要請があったのは今年一月末から今月初めごろ。要請額は例年なみの約三億円でした。
自民党からの献金要請について日建連はこれまで、寄付窓口「十日会」の会合で報告。資本金などに応じて会員ゼネコンに割り当てていました。
しかし、今年の献金についてはまだ「十日会」に報告しておらず、会員ゼネコンに割り当てる状況にはないといい、事務局で対応を検討しています。
自民党の献金要請について中堅ゼネコン幹部は「自民党長崎県連事件では、公共工事受注企業からの選挙にからむ献金について、公職選挙法の『特定寄付の禁止』に抵触すると判断された。その線引きなどもはっきりしないのに、すぐに新たな献金などはできない」と批判。別の大手ゼネコンの役員は「福井地裁の判決は衝撃だった。巨額の赤字を抱えて株主に配当もできない企業が政治献金をするのは、取締役の注意義務違反とされたからだ。表立っては反対を口にできないが、自民党もいいかげんにしてくれというのが率直な気持ちだ」と話しています。
相次ぐ事件や批判のなかでも反省なくゼネコンに献金を要求する自民党の姿勢が問われています。