日本共産党

2003年2月18日(火)「しんぶん赤旗」

押し寄せる 負担増の荒波


 小泉内閣は四兆四千億円もの負担増を国民に押しつける計画を立てながら、大企業向けの「先行減税」をあげて、「負担増のみに着目して議論するのは適切ではない」などと、経済の六割を占める家計をまったくかえりみない態度をとっています。しかし、大不況の中これだけの負担増をかぶせられたら国民の暮らしや経済はとんでもないことになります。日本共産党は「四つの緊急要求」で負担増中止を求めています。また、野党四党は健康保険の本人三割負担凍結を求めています。小泉内閣がいつどのように負担をおしつけようとしているのかを改めてみると…。

表

小泉内閣

国民の苦しみ顧みず

「痛み」押しつけ次つぎ

●第一波(02年10月〜)

必要な医療まで中断を余儀なく

 負担増の第一波は、昨年十月に実施された高齢者医療制度の改悪と雇用保険料の値上げです。老人医療は定額制(一回八百五十円)が廃止され、一割負担、一定以上の所得者は二割負担となりました。この結果、慢性呼吸不全や心不全によって心肺機能が弱った人に在宅で酸素吸入ができる「在宅酸素療法」の負担は一万円前後まで引きあがりました。必要な医療まで中断を余儀なくされる患者が激増しています。

 また、昨年十月には雇用保険料も月収の1・2%から1・4%に引き上げられました。しかも雇用保険料率は、厚生労働省の判断でいつでも1・6%への引き上げが可能になります。

●第二波(03年4月〜)

高齢者家計圧迫現役も目白押し

 来年度実施が狙われている負担増の第二波はさらに大きくなります。公的年金給付は物価下落に見合う引き下げ(0・9%減)が四月から実施されます。受け取っている年金が減るのは制度はじまって以来の改悪です。四月には、介護保険料の引き上げもおこなわれ、高齢者の家計を圧迫します。

 さらに、サラリーマン世帯にも負担増計画が目白押しです。四月には、健康保険本人三割負担の実施とあわせ、ボーナスを含めた年収換算で保険料を給料から天引きする総報酬制に移行します。月給から徴収される保険料は多少減りますが、ボーナスのときの保険料は一気に引き上がります。

 また、五月には失業給付の削減の実施も狙われています。政府は不良債権処理の加速策で失業増が予想されるから“セーフティーネット”(安全網)を張ったと宣伝しますが、その中身は失業給付を増やすのではなく、逆に下げることによって「再就職を促進する」というとんでもない内容です。

 さらに、五月は増税ラッシュ。発泡酒・ワインの税率アップは五月、たばこ税の増税は七月に実施が予定され、総額三千三百七十億円の負担増となります。

●第三波(04年1月〜)

増税の本格実施年金制度改悪も

 二〇〇四年は増税の本格実施期とされています。一月には、配偶者特別控除が廃止。主婦層がねらい打ちにされ、影響世帯は千二百万世帯に及び、負担額はじつに七千三百四十四億円です。

 四月に実施が予定される消費税の免税点引き下げ、簡易課税制度の見直しは中小業者の営業と家計を直撃します。消費税を価格に転嫁できなければ、中小業者は身銭を切って納税することになります。

 さらに、四月実施で、年金制度改悪の作業が現在、厚労省で進められています。保険料の引き上げ、給付の削減がすでに提案されています。また、財源確保のための消費税増税も検討対象となっています。

 日本経団連は、〇四年度から一四年度まで毎年1%の消費税引き上げを提案しています。こんなことが強行されれば、家計への重しは、はかりしれない規模となります。


3割負担凍結こそ国民の声

「長生き苦しい」 新聞の投書欄にも悲鳴

 小泉内閣による相次ぐ負担増計画に国民から悲鳴があがっています。新聞の投書欄には、深刻な声があふれています。

 「朝日」(九日付)の投書欄に載ったある医師は、「長生きすることが苦しい、治療を受けると家族に多大な負担がかかるなど訴える患者さんを前に、救命に全力を尽くすべき医者も悩みます」と訴えます。また、七十四歳の男性は「私たち高齢者の願いは、年金や医療・介護に明るい展望を持ちたいのだ。医療費の自己負担分増額や年金支給額の引き下げばかりが目につき、気が重い」(「毎日」十四日付)。

 開業医らでつくる全国保険医団体連合会の室生昇会長は、四野党共同でひらいた健保本人三割負担増凍結のための懇談会で訴えました。「現在の経済情勢のもとで四月から三割負担が実施されれば、いったいどうなるか。われわれ医療担当者として、これは必ず凍結してもらわなければならない」

 国民生活がかつてない“激痛”にさらされるなか、国民の暮らしと命を守ることが政治に強く求められています。


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