日本共産党

2003年2月18日(火)「しんぶん赤旗」

国保3割負担で患者重症化招いた

2割に引下げは政府公約

筋通らない健保の負担増


 “国保に入っている人はすでに三割負担。健保も三割にして何が悪い”――四月からのサラリーマンなどの医療費三割負担への批判が高まるなか、小泉純一郎首相はこう繰り返しています。しかし、これは日本共産党の志位和夫委員長が十二日の党首討論で追及したように、国保(国民健康保険)の三割負担が加入者に重い負担を強い、病院の敷居を高くして重症化を招く要因になっているという現状を見ない暴言です。しかも、国保の三割から二割への負担引き下げは政府の公約でした。

表

苦しむ加入者 みない言い分

 自営業者などが加入する国保の患者負担は、すでに三割負担です。政府はそれを口実に、健康保険などの窓口三割負担導入を正当化しようとしています。与党の公明党も「公平性の観点から三割に統一」(公明新聞、二〇〇二年四月十三日付)するのだと主張してきました。

 政府の言い分は「三割負担」に苦しむ国保加入者をまったくみないものです。国保では、国庫負担削減の影響で保険料が高くなり、滞納が加入世帯の18%を占める四百十二万世帯(二〇〇二年六月一日時点)にのぼります。そのうえ、窓口では三割負担が必要とあって、長引く不況も加わり、病院に行くのをためらわせる事態を引き起こしています。

 中小業者の団体である全国商工団体連合会の国保加入者を対象にした調査(二〇〇二年十月)では、病気で亡くなった百七十三人のうち、四人に一人が初診から一カ月以内に死亡していたことが明らかになりました。二十四時間以内に亡くなった人も、12%にのぼります(グラフ)。

 ギリギリまでがまんして重症化したため、病院に行ったときには、すでに手遅れだったという人がかなりの割合になっているのです。

国庫負担を元に戻せ

 政府・自民党は、国保の給付割合を八割にして、患者負担を三割から二割に引き下げる措置をとることを国民に約束し、法律にも書き込んでいました。

 一九八四年に、それまでは十割給付だった健康保険の加入者に患者二割負担の導入を決めたときのことです(経過措置として九七年八月までは一割負担)。この法案審議のなかで、当時の渡部恒三厚相が「将来目標として(昭和)六十年代後半(一九九〇年代前半)のできるだけ早い時期に国保の七割(給付)を八割に上げたい」と明言しました(同年七月五日)。

 その後、首相になった自民党の橋本龍太郎衆院議員は、「国民健康保険の被保険者の給付割合を八割とするよう必要な措置を講ずる」という「修正案」を国会に提案しました(同年七月十二日)。

 その結果、健康保険法の付則に「給付の公平化に関する措置」として、「(健康保険などの)被扶養者及び国民健康保険の被保険者の医療に係る給付の割合を百分の八十とするよう必要な措置を講ずる」(付則第六三条)という文言が盛り込まれました。

 当時、健保の二割負担導入に批判が高まり、「国保が高すぎる」という声に押されて、政府は国保の患者負担を二割にして「公平化」をはかり、そのために「必要な措置」をとることを約束したのです。

 この付則は、昨年の医療改悪で政府・与党によって削除されましたが、国会での政府の明確な約束が消えるものではありません。

 志位委員長は党首討論で、国保の自己負担の引き下げは「八四年の健保に自己負担を導入したときに政府が公約したこと」であり、「国保と健保の格差を問題にするなら、国保に合わせて健保を引き上げるということではなくて、国保の三割負担を下げるべきだ」と小泉首相に迫りました。

 そのためにも、八四年に45%から38・5%に大幅に引き下げられた国保への国庫負担を元に戻して、国の責任を果たすべきです。


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