2003年2月14日(金)「しんぶん赤旗」
陸前高田市の中里長門新市長は十三日、初登庁後、就任式にのぞみ職員を前に要旨次のようにあいさつしました。
職員の皆さん、中里長門でございます。
市長選挙で、市長としての職務をつとめさせていただくことになりました。本当に重い職責で、私も大変緊張しています。
陸前高田市の歴史の中でも、市政の政策的課題を争点として掲げて選挙戦がたたかわれた結果、市長が交代したということは初めてです。それだけに、職員の皆さんの中には驚いたり、戸惑いを覚えている方もおられるかもしれません。私の政策的立場は、憲法と地方自治法の精神に立って「市民が主人公」の立場であり、皆さんの「市民に奉仕する」立場と相反するものではありません。
私は第一に、市政運営にあたっては、市民の声をよく聞き、市民参加の市政をいっそうすすめてまいりたいと思っております。
公文書公開条例の改正など行政情報の公開の徹底、各種審議会などの委員の公募化、各地域や団体などとの懇談会開催など市民に開かれた市政運営に力を入れてまいります。私自身も市民の皆様との直接対話の確保に努めて参ります。
第二に、選挙にあたっての市政改革の公約を皆様の協力をいただきながら着実に一つひとつ実行してまいりたいと思っております。
とくに今回の最大の争点になりました海洋療法施設(タラソテラピー)建設については民意にそって中止をしてまいります。これまで事業計画の策定や推進に携わってこられた皆さんにとっては複雑な心境であり、辛い選択にもなるかと思いますが、市民の審判として受け止めていただき、ご協力をお願いします。
同時に、市民と市の利益を確保する立場で、市政の継続にも意を用いて参ります。多くの継続事業や計画途中の事業の確保と実施のために努力してまいります。
長引く不況の影響は地域の経済に、市民生活に深刻な影響を与えております。こういう時にこそ、市民の願いにしっかり向き合って市政をすすめていかなければなりません。
一方では、国、県においても財政危機が進行し、地方交付税削減なども予想され、今後の市政運営は今まで以上に厳しい行財政運営が強いられるものと思われます。まさに地方自治体としての真価が問われる時期であります。
しかし、さいわい陸前高田市では市政に対して市民の皆さんの関心と注目がかつてなく高まっております。職員集団が一丸となって、知恵と力を発揮して努力していくなら必ず市民の期待に応える市政を進めることができると確信するものです。