日本共産党

2003年2月13日(木)「しんぶん赤旗」

イラク戦争協力表明の中東欧諸国

6〜8割 国民世論は反対

与党内からも米追随に批判


 ブッシュ米政権は、欧州の多数国が米国を支持しているといって、イラク戦争準備を急いでいます。ここで米国があてにしている大半は中東欧、バルト海沿岸の旧ソ連(圏)諸国です。ところがいま、これら各国政府が欧州連合(EU)への加盟を目指し、イラク問題で対米協力していることに、国民の反発が強まり、世論の多数がイラク戦争協力に反対する状況になっています。(ウィーンで岡崎衆史)


 チェコ、ハンガリー、ポーランドの首脳は、一月三十日発表の欧州八カ国の米国支持声明に署名しました。二月五日には、他の中東欧、バルト海沿岸十カ国が共同で、パウエル米国務長官の国連安保理報告を支持しました。

特殊部隊派遣も

 チェコとスロバキアの議会は、イラク戦争開始の際、対生物・化学戦用の特殊部隊による米軍支援を承認しています。三月一日までに、クウェート駐留チェコ部隊三百九十四人に、スロバキア部隊約六十人が加わる予定です。

 ハンガリー政府も、イラク反体制派の訓練のため、国内の基地使用を許可しました。他の東欧諸国も、米軍機の領空通過や空港使用を認めるなど、対米協力を打ち出しています。

野党、主要紙も

 ところが、政府の対応と対照的なのが国民世論です。

 最近の各種世論調査によると、イラク戦争への反対は、チェコで67%、ハンガリーでは82%にも上ります。親米色が強いとされるポーランドでさえ、対米支援のための派兵に63%が反対、部隊派遣を決めたスロバキアでは60・3%の国民がこれに反対しています。

 世論を反映し、各国では政府批判が広がっています。

 スロベニアのルペル外相は、十カ国声明が発表された五日、地元ラジオで、世論の反発を和らげるために「これは米国の政策への支持ではない」と言い訳に終始しました。しかし、翌六日には、平和団体と個人が共同で、国連決議なしでのイラク攻撃を支持しないように同外相に書簡を提出したほか、野党や主要紙からも反発を受けています。

 スロバキアでは、野党のほか、与党のキリスト民主運動(KDH)からも、部隊派遣に批判がでるなど、政府を一時揺さぶる事態となりました。チェコでは、第三党のチェコ・モラビア共産党のほか、与党社民党の議員の一部が部隊派遣に反対しています。これらの国では、広範な市民による反戦運動が昨年末誕生し、今年に入って活動を強めています。

NATO加盟も

 一方、イラク攻撃で、自国が米国の戦争に巻き込まれる懸念が現実化したことで、軍事同盟の北大西洋条約機構(NATO)加盟支持率も減少しています。スロバキアでは、NATO加盟支持は、昨年三月57%だったのが、一月二十三日発表の調査では46%に減少しました。スロベニアでも、加盟賛成は昨年十二月の50%から一月二十七日発表の調査で44%に減りました。地元紙は、さらなる「支持下落の恐れ」を指摘しています。

 スロバキアのプラウダ紙七日付は、「われわれは米国の要請で戦争に参加しつつある。しかし、このこと以外何も知らない」と述べ、政府による米国への妄信的な追随を批判しています。


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