2003年2月8日(土)「しんぶん赤旗」
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【ワシントン6日遠藤誠二】イラクへの武力行使に反対する地方議会での決議が、米国の市町村とともに州議会レベルでも広がる気配を見せています。六日までに、カナダ国境に接する北東部メーン州の上院議会と、ハワイの下院議会が反戦決議を採択しました。
メーン州議会上院は四日、戦争より外交努力でイラク問題を解決する決議を十八対十五で採択。州議会レベルでの決議は米国では初のことです。同州では今後、下院でも採決が行われる予定。
一方、ハワイ州議会下院は六日、イラクと北朝鮮問題の解決を、国連や同盟・友好国とともに追求し、イラクにたいしては単独武力行使や先制攻撃をしないよう求める決議をあげました。
地方自治体や学生自治会、労組などの場で戦争反対決議採択のキャンペーンを進めている組織「シティーズ・フォー・ピース」がまとめたところによると、六日までに地方自治体で決議をあげているのは、二州の州議会と全米五十州中約半数の二十三州内の六十六の市町村に及びます。一カ月で二倍以上となり、今後も州議会をはじめ反対決議をあげる自治体が増える見込みです。
議会ごとに決議は異なりますが、共通しているのは、「一方的な攻撃反対」です。各議会の決議はさらに「イラクの大量破壊兵器疑惑の証拠をもっと明確にせよ」「国連ともっと緊密に協力せよ」と訴え、「景気後退の中、戦費がかさめば市民が必要とするものに資金が回らなくなる」と懸念しています。
自治体議会決議の広がりは米紙ニューヨーク・タイムズ一日付も報道。決議を行った市議会にはシカゴ、フィラデルフィア、デトロイトなど大都市も含まれ、「リベラルな傾向を持つ」とされる都市にとどまらず、共和党支持者が多数の自治体でも採択されていると指摘しています。
シカゴ市議会のムーア議員は、先制攻撃をすべきだという「根拠を大統領は示していないとの強い感情が当地にはある」と指摘。オレゴン州マルトノーマ郡の決議は「主権国家イラクに対する一方的な先制軍事行動によって国連憲章違反の危険を冒すこと、こうした行動が危険な先例になること」に反対するとしています。
カリフォルニア州サンタバーバラのブルム市長は「米政府は耳を傾けるべきだ」と語っています。
米市民団体「シティーズ・フォー・ピース」が六日までにまとめたイラク攻撃反対を決議した州議会、自治体議会は次の通りです。
◎カリフォルニア州 アルカタ/バークリー/メンドシノ郡/オークランド/サンフェルナンド/サンフランシスコ/サンルイスオビスポ/サンタバーバラ/サンタクララ郡/サンタクルーズ/セバストポル/トパンガキャニオン/ウェストハリウッド
◎コロラド州 ボールダー/ネーデルランド/テルアライド
◎コネティカット州 コーンウォール/ニューへブン/ソールズベリー
◎フロリダ州 キーウェスト
◎ハワイ州 州議会下院
◎アイダホ州 ブレーン郡
◎イリノイ州 シカゴ/エバンストン/アーバーナ
◎インディアナ州 ゲーリー
◎アイオワ州 デモイン
◎メーン州 州議会上院/ポートランド
◎メリーランド州 ボルティモア/タコマパーク
◎マサチューセッツ州 アマースト/ブルックライン/ノーサンプトン/サマービル
◎ミシガン州 アナーバー/デトロイト/ファーンデール/カラマズー/トラバースシティー
◎ニュージャージー州 ジャージーシティー
◎ニューメキシコ州 サンタフェ
◎ニューヨーク州 ダンビー/イサカ/ニューパルツ/ロチェスター(*)/シラキュース/ウッドストック
◎ノースカロライナ州 カルボロ
◎オハイオ州 クリーブランド/クリーブランドハイツ/オーバーリン
◎オレゴン州 コーバリス/ユージーン(*)/マルトノーマ郡
◎ペンシルベニア州 ヘインズ郡区/フィラデルフィア/ヨーク
◎バーモント州 バーリントン
◎バージニア州 シャーロッツビル
◎ワシントン州 オリンピア/サンフアン郡/シアトル(*)/タコマ
◎ウィスコンシン州 マディソン/ミルウォーキー/スティーブンスポイント
◎首都ワシントン(コロンビア特別区)
(*)議会書簡■議会規則などで決議ができない自治体で、大統領などへの書簡に議員の過半数が署名
(「シティーズ・フォー・ピース」のホームページから)