日本共産党

2003年2月7日(金)「しんぶん赤旗」

京都・ポンポン山訴訟

前市長に26億円返還命令

大阪高裁 土地買収の裁量権認めず


 京都市が一九九二年、同市西京区のポンポン山のゴルフ場建設予定地を適正価格を大きく超える約四十七億六千万円で購入した問題をめぐり、市民八百八十八人が故田辺朋之前市長とゴルフ場開発業者らを相手取り、独自調査にもとづく適正価格との差額分の返還を求めていた裁判の控訴審判決が六日、大阪高裁で行われました。

 武田多喜子裁判長は、一審・京都地裁判決からさらに踏み込み、故田辺前市長にたいし評価額との差額分全てにあたる約二十六億一千二百万円の支払いを命じました。

 ポンポン山買収問題は、大阪府高槻市の不動産業者がゴルフ場開発を計画し、約百三十五万二千平方メートルの山林を取得。自然保護の立場から市民らが反対し、京都市が開発不許可を決定。開発業者が京都市を相手取り約八十億円の損害賠償を求める調停を申し立て、市は民間鑑定士の評価にもとづき、市議会での日本共産党の反対を押しきって買収しました。

 裁判で原告側は、自民党元副総裁・故金丸信氏ら大物政治家の介在も指摘し、独自調査にもとづく適正な地価との差額分の返還を主張しました。

 高裁判決で武田裁判長は、買収を認めた市議会の議決について「当然なすべき実体的な調査や審議を尽くさず、手続き的にも内規に違反し違法」と断じました。

 また、一審判決は市長の裁量権を認めて、京都市の損害を「適正価格の二倍」を超えた差額(約四億六千九百万円)だけの支払いを命じましたが、高裁判決はその判断を退け、「裁量権は責任原因の有無を判断するうえで考慮されるべきで、損害の範囲を画するものでない」として、差額全額の支払いを命じました。

 原告弁護団の籠橋隆明弁護士は「市議会の議決を含む手続きの違法性を糾弾し、違法な行為による損害に裁量権が入る余地がないことを明確にした画期的判決」と強調しました。


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