2003年2月6日(木)「しんぶん赤旗」
ディーゼル車の排ガス規制を行う「自動車NOx(窒素酸化物)・PM(粒子状物質)法」の十月実施を前に、不況下、低公害車への買い替えが困難な中小・零細の運送・観光業者らが五日、環境省と交渉しました。業者らは「大気汚染公害をなくすことは緊急の社会的要請だ。使用過程車の排ガスを除去する後付け装置を研究開発し実用化してほしい」と支援策を求めました。
同法の実施にあたって国とメーカーは、買い替え用の新車開発に奔走。現段階でも「これをつけたら車検が通るというNOx・PM両方の除去装置はない」(環境省)というのが現状です。
「バス十四台すべてが規制にかかる」という平和交通の須藤浩志さん(35)=埼玉・川口=は「大型バス一台三千万円。事業認可が受けられる最低保有台数五台に減らしても、買い替えに一億五千万円かかる。このままだと廃業に追い込まれる」と訴えました。
兵庫・神戸市の男性(60)は「トラック四十台のうち、六割が規制にかかる。不況で銀行の借り入れも難しいし会社がどうなるのか分からない」といいます。
「メーカーがつくった車にただ乗っているだけだ」と、メーカーの製造責任を問う参加者の声に環境省側は「メーカーに開発を促しているが、技術的に難しい」とメーカーのいい分を繰り返すだけでした。
同席した日本共産党の藤木洋子衆院議員は「空気をきれいにするために車種規制は必要だが、後付け装置の開発はメーカーの責任だ」として同省のメーカーへの真剣な対応を求めました。