2003年2月6日(木)「しんぶん赤旗」
もう我慢できない、何とかならないか─五日の参院本会議での代表質問で国民の共通の思いをこう述べた日本共産党の市田忠義書記局長。「多くの国民は額に汗して働くことを尊び、人間を大切にし、助け合い支えあって暮らしています」とのべ、国民の願いにこたえる国政転換の道を示して小泉首相に迫りました。
市田書記局長 サラリーマンの収入が減るなかでの負担増がどれだけ家計を直撃し、消費を落ち込ませ、病院への足を遠のかせるか。三割負担がもたらす国民の暮らしと健康、日本経済への影響をどう考えるか。
小泉首相 患者負担に一定の歯止めがあり、必要な医療が抑制されることはない。
市田氏は、一九九七年にサラリーマンの医療費自己負担が二割に引き上げられたとき、受診抑制が二百八十万人に及んだことを指摘。勤労者世帯の実収入が五年連続で減っていることも示し、「収入が減ったもとでの負担増がさらに受診抑制をもたらし、健康悪化に拍車をかけてかえって医療費を増大させる」と、負担増の撤回を求めました。
首相は「持続可能な社会保障制度の構築」と繰り返すばかり。市田氏は、社会保障分野への国庫負担を増やして不況と負担増の悪循環を断ち切ることが、社会保障の持続を可能にする道だと迫りました。
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市田 失業者を減らすのが政治の責任なのに、政府の経済見通しはさらに高い失業率を掲げている。こんな政府が世界のどこにあるのか。
首相 不良債権処理加速などに伴う雇用への影響には十分配慮し、セーフティーネットに万全を期す。
二〇〇二年の失業率は5・4%で過去最悪です。首相は「早期再就職支援制度」をあげて対策に万全を期すとしました。これは現在中高年の失業者が受け取る失業手当を削って仕事に就かせようとするもの。市田氏は「これでは支援どころか脅しだ」と批判しました。
市田氏はまた、失業だけでなく住む家を失う人が増えているとして、都市基盤整備公団の居住者追い出しの問題を取り上げました。公団側が家賃滞納を理由に裁判を起こし、強制執行で追い出された人は昨年四月から十二月までで二千七十二人にのぼります。
「この経済危機のもとで国が率先してホームレスをつくるなどあってはならない」と迫る市田氏。首相は「必要に応じて公営住宅申し込み窓口紹介や福祉事務所との連携を行うなど、機械的な対応にならないよう個別の生活事情を勘案している」と答弁しました。
市田氏は、自民党長崎県連の違法献金事件が長崎だけの例外ではなく、自民党全体の恒常的な腐敗現象であることを指摘。小泉首相と三大臣が代表を務める選挙区支部で、前回総選挙の直前に公共事業受注企業から献金を受け取っていたという報道にふれました。
市田 自民党総裁のあなたがまず襟を正し、実態を調査・公表すべきではないか。
首相 (長崎県連事件は)当局において捜査中で自民党も調査を開始している。今回の事件を重く受け止め、必要な対応を検討する。
市田氏は「抽象論でなくどこを改めるのか」とただしましたが、答えはありませんでした。
市田氏は、支持していない政党にも税金が配分される憲法違反の政党助成金問題を取り上げました。日本共産党を除く各政党が受け取った助成金は、制度導入以来の八年間で二千五百億円にものぼります。
「国民には負担と痛みを押しつけながら、なぜ自分たちだけ税金の山分けをするのか」と廃止を主張した市田氏。首相は「民主主義のコストというべき政党の政治活動経費を国民全体で負担するもの」と強弁しました。
市田 (イラク攻撃を)仮定の話などとして態度表明を回避してはならない。国連を無視したアメリカの一方的な武力行使に反対し、一切の協力を拒否することを明言すべきではないか。
首相 米国は対イラク軍事行動を決定したとはいっていない。
イラク問題で首相は「事態の推移を注視する」というだけで、アメリカの武力行使への反対表明を拒否。市田氏は、世界の多くの国が平和的解決に力を注いでいるときに、イージス艦派遣や有事法制など軍事的対応しかしない日本政府の姿勢は逆行しているとのべ、憲法に基づく平和外交への転換を改めて求めました。