2003年1月31日(金)「しんぶん赤旗」
二〇〇二年度の補正予算が成立しました。その内容は、小泉内閣の「構造改革」の欺まんと破たんを証明するものとなっています。
補正予算では、「構造改革型公共投資の推進」と称して一・五兆円にのぼる公共投資が積み増しされました。
しかし、その中身は拠点空港の整備、無駄使いと批判されている道路建設やダム建設が中心です。
中部国際空港には二百六十二億円を投入し、本年度当初予算と比べて約70%も増加しました。道路整備も三千六百八十億円にものぼります。小泉首相は当初予算で、公共事業費の一兆円削減を自慢してきましたが、補正予算の編成で、公共事業費は結局、前年度当初を5%上回りました。
前国会で、「国債を増発して公共事業を増やして景気が回復するんだったら、私すぐにやりますよ」(十一月二十五日、参院予算委)と大見えを切っていた小泉首相。ところが、今国会では、「経済への即効性の高い事業」(一月二十一日、衆院本会議)などと百八十度姿勢を転換する答弁で、平然と公共事業積み増しをおこないました。
補正予算に盛り込んだ公共事業は経済効果が高い事業なのでしょうか。
政府は補正予算によってGDP(国内総生産)を実質で0・7%程度押し上げ、九万人の雇用創出効果が見込まれるとしています。
ところが…。政府の二〇〇三年度の経済見通しでは、GDPのうち、公的固定資本形成費(公共投資)の経済効果は実質4・4%減。GDPへの押し上げ効果どころか、マイナスの作用となっています。雇用情勢にいたっては、完全失業率が5・6%に上昇すると予測。補正予算で雇用創出どころか逆に失業者が増えるとされています。
昨年度の第二次補正予算でかかげた十一万人の雇用創出見込みも、どれだけ達成できたのかと問われた塩川財務相は、「何人の(雇用創出)効果があったかということを出せといわれたってできない話」(二十七日の衆院予算委員会)と答弁。
政府が高いと言ってきた雇用効果は何ら実証されていません。
国民への欺まんは、それだけにとどまりません。
補正予算は四兆九千六百八十億円の国債追加発行を盛り込みました。当初予算とあわせて二〇〇二年度の国債発行額は三十四兆九千六百八十億円となり、小泉内閣が公約してきた「国債発行三十兆円枠」を突破しました。小泉首相は、「この程度の約束を守れなかったことは、たいしたことではない」と開き直りました。その後釈明はしたものの、発言は撤回していません。
一方、来年度にかけて、医療・年金などの国民負担増が四兆四千億円に及ぶことが明らかになり、景気をいっそう冷やす道を突き進んでいます。
暮らしに軸足をおいた経済財政政策への抜本的転換こそが、景気回復へのたしかな道であることが補正予算をめぐる論戦でも明らかになりました。(佐藤高志記者)