2003年1月30日(木)「しんぶん赤旗」
商工ローン大手の「SFCG」(旧商工ファンド)が、債務者の債務残高を約二倍に偽って連帯保証人に示し、不当に高い保証額を支払わせた―。そんな事例をもとに、日栄・商工ファンド対策全国弁護団の弁護士が関東財務局にSFCGの業務停止など行政処分を申し立てていることが二十九日までにわかりました。
被害を受けたのは、川崎市高津区の部品製造業、澤秀行さん(40)。澤さんは一九九七年七月、親族が経営するA社が商工ファンドから百万円を借り入れた際に連帯保証人となりました。
翌九八年、A社が倒産。澤さんは、保証した金額は百万円だと思っていましたが、商工ファンドは、A社に「千六百八十一万円」の債務残高があるとして、澤さんに同額の支払いを請求しました。
保証が、一回の貸し付けの金額ではなく、債務者の借入限度額までを保証する「根保証」だったためです。
A社を経営していた親族は行方不明になり、借用証など契約書類の控えも紛失していました。澤さんは商工ファンドがいう「千六百八十一万円」を前提に同社と交渉。その結果、一千万円に減額し、その金額を澤さん自身が商工ファンドから借り入れて返済することになり、澤さんは二〇〇〇年、一千万円の主債務者になりました。
ところが、その後行方不明だった親族が戻り、「債務は八百万円しかない」と澤さんに告げました。澤さんは昨年、日栄・商工ファンド対策全国弁護団の茆原洋子弁護士に相談。残っている書類を集めて調べたところ、別の連帯保証人がA社の倒産直前、商工ファンドに対してA社の保証をしており、その書類にA社の債務残高が「八百四十一万円」と書かれていることがわかりました。
「八百四十一万円」の後、A社が借り増しをしていないことは、商工ファンドが提示した顧客台帳で明らかでした。
澤さんは昨年五月からこの“債務”についてSFCGと調停を続けていましたが、調停は今月十七日、決裂。「まだ商工ファンドは債務を振りかざしてきていませんが、もし請求してきても、契約は錯誤によるもので無効です」と茆原弁護士は言います。
澤さんは「おかしいとは感じていたが、当初は一部上場の大手企業だからインチキはしないだろうと思っていました。だから虚偽がわかったときは驚きました。このインチキのために、妻には生活を切り詰めさせ、家族に苦労をかけたことがくやしい」と話しています。