2003年1月24日(金)「しんぶん赤旗」
七十万円以上の学費、学部別の授業料、単位ごとに授業料を徴収――。政府が導入を狙っている国立大学の法人化によって、五十二万八百円(二〇〇三年度)の授業料が大幅値上げになるとの試算結果が、各大学の検討のなかで浮かびあがっていることが二十三日までに分かりました。
国立大学の法人化後について、文部科学省の調査検討会議は最終報告(二〇〇二年三月)で、学費は政府の定める枠内で各大学ごとに決めるとしています。国から大学への運営費交付金の配分も、各大学の中期目標を文科相が定め、その達成度を反映させる仕組みが打ち出されています。
さらに、昨年十二月の国立大学協会の特別委員会で、文科省の高等教育局学生課は、法人化後の学生納付金について、法人化移行時の額をベースに標準額を設定し、授業料で最高額七十万六千八百円までの幅を待たせた案を示しています。
文科省は法人化法案を提出していないにもかかわらず、二〇〇四年春からの法人化を前提とした移行準備を各大学に迫っており、各国立大学は検討会などを設置。法人化後の組織運営、人事、会計などのあり方について検討が行われています。
名古屋大学の組織改革検討委員会は昨年十月に中間報告を発表。学生納付金について、国からの運営費交付金の配分額が学校経費の50%になった場合、「授業料を七十〜八十万円程度に設定せざるを得な」いとしています。
同報告では「学生に勉学のインセンティブ(刺激)を与えるため」として、単位ごとに授業料を徴収することなどを「検討に値する」としています。
新潟大学は同十二月、「国立大学法人化の検討専門委員会報告中間まとめ(案)」を学内向け検討材料として示しました。これによると、学生納付金の額は文科省のガイドラインが示された後検討するとして、学部別の授業料については「慎重な検討を進める必要がある」としています。
しかし、付属病院を除いた歳出額の50%を教育にかかる経費と仮定して学生・院生などの一人あたりの経費をほぼ八十六万円に達すると算出。さらに、医歯学系百三十六万円、自然科学系八十三万円、教育学系四十八万円、人文社会学系三十四万円など学系別の概算を示しています。
東京大学でも同大二十一世紀学術経営戦略会議が九月にまとめた「財務・会計検討委員会報告書」で、学生納付金について、「学生納付金の学問分野別、学部・大学別等毎の異なる設定について」と、学部別授業料が検討課題として明記されています。昨年末に行われた同大学教養学部学生自治会正副委員長選挙では、これが大きな争点となりました。学部別授業料が導入されれば「私立大なみに大幅値上げへつながりかね」ないとして、法人化・学費問題への取り組みを最重要課題と訴えた候補が選出されました。