2003年1月23日(木)「しんぶん赤旗」
昨年十二月の年末商戦が不発に終わり、百貨店の売上高が大幅マイナスになるなど家計消費の冷え込みが改めて鮮明になっています。街角景気の動向を示す内閣府の十二月の景気ウオッチャー調査からも、所得減や雇用不安などから財布のひもをいっそう固くする庶民の生活防衛ぶりが浮き彫りになっています。
景気ウオッチャー調査は、商店街や百貨店、スーパーの店主や担当者、タクシー運転手やスナックのママさん、職業安定所や人材派遣会社の担当者などがウオッチャー役を果たしています。その目に映った年末の家計動向の特徴は、消費者の買い控えの広がりであり、買っても必要最小限のものだけ。年末恒例の企業関係者の「忘年会」も金をかけず、クリスマスシーズンでもレストランなどの客は落ち込んだといいます。
【家計動向関連】
「依然として必要なものしか買わない。同時に、必要であってもそれすら買えないという状況も」(北海道、コンビニ店長)
「今月は買い控えが極端に起きている。高失業率やボーナスの減額、先行き不安に原因がある」(東北、スーパー経営者)
「例年であれば満席になるクリスマスの営業も、今年は空席が多く、景気が悪い」(東北、一般レストラン経営者)
「これでもかというほど、単価が低下しており、客もよほどのことがないと、部品を取り換えない傾向がある」(南関東、自動車備品販売店経理担当)
「十二月に入って、景気が悪いという実感がさらに強まった。客単価は伸びず、客は不要なものは一切買おうとしない」(北陸、スーパー総務担当)
「食料品や日常衣料等の買い控えがみられる」(近畿、百貨店売り場主任)
「十二月は過去最悪の売り上げで、忘年会も金曜、土曜にかたまり、一次会で終わりというケースが多いため、タクシー客の動きがすぐになくなってしまう」(中国、タクシー運転手)
「忘年会の予約が一件もないという開店以来初めての経験をした」(四国、スナック経営者)
【企業動向関連】
「企業の売り上げ減少から従業員の手当、賞与支給率が減少しており、労働意欲に明るさが見えず不安感が増加している」(北海道、食料品製造業・団体役員)
「大手企業からのキャンセルや変更、納入後のコストダウン要求など、従来では考えられないような行為が発生。中小の弱みにつけこんだ取引が横行する懸念がある」(東北、電気機械器具製造業経営者)
「得意先が海外調達の方向になっており、納期の短い仕事だけが入ってくる。価格は東南アジアとの競争になっている」(南関東、金属製品製造業経営者)
【雇用関連】
「事務職、営業、販売職をはじめ、技能職などの求人は、人材派遣業者へのシフトや、パートタイムでの対応が目立ち、新卒求人は激減している」(北関東、短期大学就職担当)
「追加リストラ、倒産、合併等により、離職者はまだまだ増加する」(南関東、職業安定所職員)
「三十五歳以上の求人は少なく、派遣でも就職は困難な状況」(東海、人材派遣会社社員)
「正社員からパート、アルバイトに切り替えていく企業が多くみられる」(中国、求人情報誌作成会社支店長)