日本共産党

2003年1月21日(火)「しんぶん赤旗」

日本共産党国会議員団総会での

志位委員長のあいさつ

(大要)


 二十日の日本共産党国会議員団総会で、志位和夫委員長がおこなったあいさつ(大要)は次のとおりです。

 国会開会にあたりましてごあいさつを申し上げます。

 今度の国会は、いっせい地方選挙をはさんでのたたかいとなります。それから、解散・総選挙の可能性をはらんだ展開となります。ですから、日本にとっても、わが党にとっても非常に重要な国会です。きたるべき政治戦で必ず前進を勝ち取るうえでも、国会というたたかいの最前線で、国民の期待にこたえて、わが党の値打ちをさらに輝かせる論戦をおこなう決意を、まず固めあいたいと思います。(拍手)

暮らしと経済――“三つのたたかいの焦点”

 この国会で問われている最大の問題は、ぎりぎりのところまで深刻になっている国民の暮らしと経済の危機をどう打開するか、ここにあります。この点で政治の責任が問われています。

 小泉政治は大破たんに直面し、この危機になすすべを持たない、ただ「痛み」を国民に押しつけるだけの姿をむきだしにしています。そういうもとで私たちは、「四つの緊急要求」を掲げ、この悪政と正面から対決して、たたかいぬきたいと思います。

 暮らしと経済をめぐっては、“三つのたたかいの焦点”が、いま目の前に提起されています。

四兆円負担増――論戦とたたかいでくいとめよう

 第一は、四兆円の国民負担増、すなわち社会保障の負担増と庶民増税を許していいのかという問題です。

 九七年の九兆円負担増の時には、わが党はこの問題で歴史に残る大論戦をやりました。「これを強行すれば、経済も、財政も、社会保障も、その土台を破壊することになる」と私たちは強く警告し、中止を求めました。しかし、政府は耳を貸さず強行し、結果はわが党の警告どおりになりました。

 今度の負担増というのは、当時と比べても国民の所得が大きく落ち込んでいるなかでの負担増ですから、この破壊的な影響ははかりしれません。四兆円負担増は、六年前の誤りをいっそう深刻な形で再現することになることは必至だと思います。

 ただここでは、六年前と比べても、たたかいの輪が広がっていることが重要です。

 医師会の医療費値上げ反対の公然たる動きも、それを示しています。野党四党で、医療費の値上げを凍結するという法案を共同で提出する方向での合意が勝ち取られたことも、たいへん重視すべき出来事だと考えています。

 私たちは、大論戦を展開し、国民の運動としっかり連携して、国会共闘もその可能性を最大限探求し、この暴挙を食い止めるために全力をあげたい、このように考えるものです。(拍手)

雇用と中小企業――土台から破壊する悪政の転換を

 第二の焦点は、雇用と中小企業を破壊する悪政とのたたかいです。

 小泉政権が「不良債権の早期処理」という方針のごり押しを始めてから二年近くがたちました。

 中小企業の現場に行きますと、いま新しい深刻な事態がすすんでおります。すなわち、黒字の企業も含めて、一方的な貸出金利の引き上げと、猛烈な貸しはがしがすすんでいます。黒字の健全企業も含めて、たちまち経営困難と倒産に追い込まれるというプロセスがすすんでいます。

 これは、ただ単に「銀行が悪い」というだけではすみません。銀行をそういう行動に追い立てている政治の責任が、まさに問われています。この悪政を「加速」させようというのが竹中プログラムで、まさにこれは亡国の道というほかないものです。

 私たちは、国民経済と中小企業にたいする金融のまっとうな責任を果たさせる政治への転換を求めて、たたかいぬきたいと思います。

消費税増税――現実の危険がせまっている

 第三は、消費税の増税問題が、風雲急を告げているということです。

 年初めから日本経団連をはじめ財界が、増税の大合唱を始めました。政府与党もおずおずとした態度ではあるけれども、この合唱にいま加わりつつあります。

 重大なことは、現実の増税の危険が来年に迫っているということです。すなわち、基礎年金に対する国庫負担率を、来年四月から、三分の一から二分の一に引き上げる。その財源のための増税という動きが底流にあり、公然と口には出さない政治家も含めて、政権・与党の多くの人々がそういうことを腹のなかでは考えている。これが現状です。

 すでに、今度の予算案を見ましても、免税点の引き下げ、あるいは簡易納税制度の縮小など、消費税増税に向けた「地ならし」が始められていることにも強い警戒を払う必要があります。

 日本共産党は、消費税反対を貫く党として、消費税増税を絶対に許さない、この論戦とたたかいを大いに繰り広げていきたい。この決意も固めあいたいと思います。(拍手)

平和と外交をめぐるたたかいについて

 平和にかかわっても、いくつか重大な焦点があります。

北朝鮮核問題――日本政府の役割が問われている

 北朝鮮の核問題にさいして、核兵器開発計画の放棄を求めること、そしてそれを平和的な話し合いの方法によって実現すること、これは当然のことでありますが、日本政府が「日朝平壌宣言」の当事国としてどのような積極的な役割を果たすかが、いま問われていると思います。

 私は、その役割を果たすためにも、また日朝国交正常化交渉の前進のためにも、日朝間の諸懸案を包括的に解決する。すなわち拉致の問題、核兵器の問題、そして過去の清算の問題、諸問題を包括的に解決する。この立場に立ってこそ、困難や障害を打開する道が開かれるということを、あらためて強調したいと思います。

イラク問題――対米追従の恥ずべき対応をつづけていいのか

 イラク問題での政府・与党の対応がきびしく問われています。

 昨日、市田書記局長が出席したテレビの討論会で、自民党の山崎幹事長が、「新たな国連の決定なしで米国が武力行使を始めたさい、どういう態度をとるのか」と問われて、「反対する」と明言せず、「政治判断」といいました。すなわち「賛成」や「協力」もありうるという態度を示したものです。非常に重大です。

 国連安保理決議一四四一は、国連による査察の結果について判断し、それへの措置を決める権限を持っているのは国連安保理だけであり、米国による自動的な武力行使を排除する。ここに核心があったわけですから、まったくこの国連の決定を無視した議論といわなければなりません。

 昨日、世界三十カ国で平和を求める集会、デモがおこなわれました。国際世論も、そして各国政府の大多数も、戦争回避と平和解決を求めています。いまこの声が全世界に広がっている。そういう時に国連を無視した米国の武力行使に「ノー」といえず、イージス艦派遣など戦争を後押しする行動をとっているわが日本政府と与党の行動というのは、異常な対米追従の恥ずべき見本といわなければなりません。

 わが党は、この問題では、平和のための独自の野党外交にも力を入れてきたわけでありますが、その成果も十分にいかして、戦争を食い止めるための論戦を国会でもおこないたいと思います。(拍手)

有事法制――昨年の成果にたって、廃案に全力を

 平和の問題では、有事法制の強行を許さないことも、この国会の大きな課題です。

 この問題では、イラク問題を見ましても、北朝鮮問題を見ましても、話し合いによる平和解決ということが世界の流れになっている。その時に参戦法案を強行する時代逆行の愚を許すわけにはいきません。

 この問題では、昨年の二回の国会で強行を許さなかった。これは大事な成果です。これは国民のたたかいとともに、法案の道理のなさを示しているわけです。この悪法を今度の国会ではきっぱり廃案に追い込むために全力をあげるということを、開会日にあたって共通の決意にしたいと思います。(拍手)

「政治とカネ」――公共事業受注企業の献金問題の徹底追及を

 「政治とカネ」の問題についても重大な動きがおこっています。

 自民党長崎県連幹部が公共事業受注業者からの選挙献金で逮捕されるという事態が起こりました。これは、たいへん重大な意味を持っています。すなわち公職選挙法一九九条、二〇〇条で「特定寄付の禁止」――公共事業受注業者から選挙献金を受け取ってはならないという条文を適用しての逮捕というところに、重大な意味があります。

 ここで捜査当局が切り込んだのは、初めてといっていい、画期的なことです。つまり名目が政治献金であっても実態が選挙献金ならば犯罪になるということです。自民党からは、「これが違法なら党の存亡にかかわる」(笑い)という声があがっておりますが、これは裏を返しますと、一地方の問題ではなくてまさに体質の問題だということを物語っています。

 この問題では、真相の徹底究明、企業献金の禁止、わけても公共事業受注業者の企業献金の即時禁止、このためにわが党ならではの論陣を張っていきたい、このように思います。

国会のたたかい、草の根のたたかいが、心一つに力あわせ

 暮らしと経済、平和と外交、清潔な政治、どの分野でもわが党の値打ちを存分に輝かせて、国会のたたかいと、いま全国でおこなわれている草の根のたたかいと心ひとつに力をあわせ、わが党の新しい上げ潮をつくるために全力をあげたい。このことをのべましてごあいさつといたします。ともに頑張りましょう。(拍手)


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