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2019年12月28日(土)

大阪市つぶしにひた走る維新

“独裁”の「都」構想

知事やりたい放題体制狙う

 大阪維新の会(代表・松井一郎大阪市長)は、大阪市つぶしにひた走っています。矛盾は深まるばかりで激しい攻防となっています。

 大阪市を廃止し四つの特別区に分割する「大阪都」構想案の「方向性」なるものが26日の法定協議会で採決され、大阪維新の会、公明党の賛成多数で了承された形となりました。

 維新は制度案作成を本格化させ、来年9月にも招集される府・市議会で議決し、来年11月上旬(1日か8日)に住民投票を実施。賛成多数となれば2025年1月から特別区に移行する計画です。

“脅し”うけ屈服

 「大阪都」構想は、大阪市を解体し財源も権限も「都(府)」に吸い上げ、「1人の指揮官(知事)」でやりたい放題のことができる体制をつくるのが狙いです。

 同構想は「ラストチャンス」だったはずの15年5月の住民投票で否決されました。それでもあきらめなかった維新を助けたのは、脅しに屈した公明党でした。それまで「都」構想反対を表明していた公明党は、今春の知事・大阪市長ダブル選で維新が勝つや、「強い民意」を理由に賛成に転じました。

 維新は、公明党が現職の衆院議員をもつ関西の6選挙区(大阪府と兵庫県)に「維新はエース級のメンバーを準備できていると思う」(前維新代表の橋下徹元大阪市長)と揺さぶりをかけました。

 「百害あって一利なし」と痛烈に批判していた「都」構想に賛成する前提として公明党府本部代表の佐藤茂樹衆院議員が挙げたのが、▽住民サービスを低下させない▽特別区の設置コストは最小限に抑える―など4条件でした。「わが党の修正提案に沿った形でよりよいものに前進させることができた」として公明党は賛成しました。

 しかし、住民サービスについては、「特別区設置の際」は内容、水準を「維持する」とされただけです。問題の「特別区設置後」は「維持するように努める」と努力義務になっているにすぎません。

 「設置コストも改善された」と公明党。しかし、特別区は既存庁舎を活用し、執務面積が不足する特別区(淀川区と天王寺区)は、現大阪市本庁舎(中之島庁舎)を北区とともに活用するというもの。所属自治体に通勤しない職員が多数生まれ、災害時にどうするのか、日常業務ができるかなどの懸念が生じています。

共同の力でノー

 「地方分権の流れに逆行する最悪の地方自治破壊の暴挙」(日本共産党の山中智子市議団長)をしてまで、いったい何がしたいのか。

 維新は「(25年の)大阪万博を『大阪都』で迎えたい」としていますが、一部・先行を含めて万博前開業をめざす(全面開業は26年度まで)としているカジノを中核とする統合型リゾート(IR)に照準を合わせています。大阪市をつぶし、財源をカジノ誘致のためのインフラ整備に注ぎ込む。カジノ業者と35年契約を結び、自治体側からの契約解除は賠償金を払うという、後戻りできない仕組みまでつくろうとしています。

 大阪の成長には無縁の道です。「共同の力で、『大阪市廃止・解体』を許さず、『NO!』をつきつけるために総力をあげる」(日本共産党大阪府委員会の柳利昭委員長)時です。(渡辺健)

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