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2019年12月26日(木)

年金自動削減が前提

厚労省 年金制度改定案を提示

 厚生労働省は25日の社会保障審議会年金部会で、来年の通常国会での法案提出に向けた年金制度改定案を示しました。年金自動削減の仕組みである「マクロ経済スライド」の維持を前提としたまま、短時間労働者への厚生年金の適用拡大や、受給開始の時期を受給者の選択によって遅らせる「繰り下げ受給」の柔軟化などを盛り込んでいます。

 短時間労働者への厚生年金の適用拡大では、対象企業の要件を現在の「従業員501人以上」から、2022年10月に「101人以上」、24年10月に「51人以上」に引き下げます。中小企業の経営に配慮し、経過措置を設けました。

 65歳より後に受給を開始する「繰り下げ受給」の柔軟化については、現行70歳の繰り下げ受給の上限年齢を75歳に引き上げます。年金額は、繰り下げ期間1月あたり0・7%増額します。

 働いて一定以上の収入がある高齢者の厚生年金を減らす「在職老齢年金制度」については、60~64歳の減額対象となる収入額を現行の「月28万円超」から65歳以上と同じ「月47万円超」に引き上げる案を示しました。

 安倍政権は8月に発表した公的年金の「財政検証」で「マクロ経済スライド」によって今後約30年かけて基礎年金の給付水準を3割も削減する試算を示しています。

 今回の改定案はこの問題を解決するものではありません。制度改定に向けた議論を進めてきた同部会の委員からも「基礎年金の劣化をどうするのかが今回の大きなテーマだったが、あまり議論ができなかった」といった苦言や感想が相次ぎました。


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