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2019年12月21日(土)

きょうの潮流

 年賀状の受け付けも始まり、師走の郵便局はごった返し。今年は明治初期に郵便事業を開いた前島密(ひそか)の没後百年です。「郵政の父」は身分や肩書に関係なく、だれもが平等に使える制度の基礎を築きました▼郵便局は全国にひろがり、まちの郵便屋さんは童謡にも歌われるように地域の人びとに親しまれてきました。いまも列島に点在する2万4千の局は郵便、貯金、保険の業務を展開し、住民のくらしを支えています▼裏切られた。そんな思いが募った、かんぽ生命の不正販売です。保険料を二重に払わされた、知らないうちに新規にきりかえられた、説明もなく複数の契約を結ばれていた―。その多くが高齢者をだます悪質な手口でした▼身近な存在や信頼を逆手に取った営業手法。契約をとりやすいお年寄りを「ゆるキャラ」「半ぼけ」などと陰で呼んでいた局員のモラル低下。背景には、社員に厳しいノルマを課し、締めつけていた組織の体質がありました▼「お前は寄生虫だ」。調査委員会が公表した報告書には未達成の社員へのパワハラが横行していた実態が明らかに。詐欺まがいの手法を共有する勉強会を開くなど、成績至上の組織ぐるみともいえる姿が垣間みえます▼かんぽの不正販売をいち早く報じたNHKの番組を、日本郵政の副社長が「まるで暴力団」と圧力をかけていたことも。民営化され、弱肉強食の論理で経営してきた結果ではないのか。「人のためによかれと願う心を常に持て」を信条にしていた前島も泣いていよう。


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