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2019年12月3日(火)

笹子トンネル事故7年

責任逃れは再発防げぬ

追悼式典 遺族ら中日本を批判

「時間たって心の痛み増す」

 山梨県の中央自動車道・笹子トンネルで天井板が崩落し9人が死亡した事故発生から7年を迎えた2日、犠牲者を追悼する式典が同県大月市内で行われました。式典は今年4月に2カ所に建立された追悼碑のうちのひとつ、中央道下り線・初狩パーキングエリアの碑の前でありました。碑は富士山に向かって手を合わせるデザインとなっています。


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(写真)(右から)藤崎さん、大森さんらに犠牲者の写真と名前を紹介する松本さん=2日、山梨県大月市内

 犠牲となった小林洋平さん=当時(27)=の兄、俊介さんは追悼の言葉をのべました。

 俊介さんは事故直後のことを「いわれるがまま息子の死亡届を書かされている父の背中、生まれた時より小さい姿になった弟の好きな料理をひつぎに入れて見送る母の姿を一生忘れません」と振り返り、今なお友人が自宅を訪ねてくる洋平さんの人柄をしのびました。

 またトンネルを管理する中日本高速道路については「なぜ点検を簡略化し天井板撤去を先送りしたのか。『事故を予見できなかった』『点検に問題はない』という中日本では老朽化する高速道路の管理はできない」と責任逃れする姿勢を厳しく批判しました。

 石川友梨さん=当時(28)=の父、信一さん(70)は「時間がたてば痛みが薄れるどころか、かえって増してくる。毎年この時期の2、3日は娘へのいとおしさがこみ上げて断腸の思いがする」と話しました。

 洋平さんの父、小林寿男さん(72)は「民営化から2012年の事故までに、西日本高速は15本のトンネルで天井板を撤去したのに、中日本は1本もとってない。中日本は全社員にアンケートをとって、なぜこの事故が起きたか問いかけるべき。再発防止こそが犠牲者への唯一の供養だ」とのべました。

 甲府検察審査会は7月、トンネルの点検業務にかかわった2人を「不起訴不当」と判断し、甲府地検は再捜査をしています。

 松本玲さん=当時(28)=の父、邦夫さん(68)は「検察審査会の議決では何度も“なぜ防げなかったのか”もっと捜査すべきと繰り返し言及している。中日本の内部体制のことなど解明が十分でない」とのべました。

 小林さんら5人の青年と共同生活を送っていたシェアハウスの住人だった男性も追悼の言葉を述べ、中日本高速の宮池克人社長が「おわびの言葉」をのべました。

 この日、追悼碑にはJR西日本の福知山脱線事故でそれぞれ娘を亡くした大森重美さん(71)、藤崎光子さん(80)、奥村恒夫さん(72)の3人が訪れました。大森さんが代表を務める「組織罰を実現する会」の活動や組織罰創設の意義を訴えました。


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