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2019年10月17日(木)

主張

首相の改憲策動

執念の根深さを世論で阻もう

 自民党役員人事と内閣改造を受けた臨時国会の審議の中で、安倍晋三首相は憲法9条に自衛隊を書き込むなどの改憲実現への執念を隠しません。見過ごせないのは、首相だけでなく衆参の代表質問や予算委員会の基本的質疑に立った自民党議員が口をそろえて改憲を要求していることです。自民党の改憲推進本部も体制を強化して、活動に拍車をかけようとしています。安倍首相や自民党の改憲への動きは極めて危険です。

自民党を挙げて推進

 安倍首相は先月末の自民党人事にあたって、「憲法改正を党一丸となって力強く進めたい」と述べ、改憲への執念を示しました。再任された二階俊博幹事長や岸田文雄政調会長、総務会長に起用された鈴木俊一氏、改憲推進本部長から選対委員長に横滑りした下村博文氏も足並みをそろえます。安倍首相は臨時国会冒頭の所信表明演説の結びで、改めて改憲の議論を国会に呼びかけ、憲法尊重擁護義務も「三権分立」の原則も踏みにじる姿勢をあらわにしました。

 自民党の改憲推進本部は本部長に細田博之元幹事長、本部長代行に古屋圭司元国家公安委員長、事務総長に根本匠前厚生労働相を充てる体制を確立しました。11日の初会合では地方で改憲機運を盛り上げる「憲法改正推進遊説・組織委員会」(古屋委員長)の新設などを決め、細田本部長は「新しい体制で、精力的に活動していく必要がある」と述べました。

 国会では衆院で代表質問に立った林幹雄幹事長代理や参院で質問した世耕弘成参院幹事長(前経済産業相)、衆院予算委で基本的質疑に立った岸田政調会長らも改憲問題に時間を割き、これにこたえた形で安倍首相がとくとくと自説を展開しました。文字通り自民党を挙げて改憲を推進しています。

 答弁の中で安倍首相は、2020年に憲法9条に自衛隊を書き込んだ改定憲法を施行するというのは「あくまでも希望」と述べつつも、「中身をどうするかは(衆参両院の)憲法審査会で議論してもらう」と、国会での議論を改めて迫りました。9条に自衛隊を書き込むことを諦めたとは決して言いません。自民党の下村選対委員長も通信社のインタビューで、「野党は堂々と憲法審で発言すればいい」といって、野党を改憲の議論に誘います。こうした安倍政権の動きは、先の参院選での「改憲勢力3分の2割れ」という国民の審判に真っ向から逆らうものです。首相が言い出した改憲が思い通りいかない焦りの表れでもあります。

 首相が目指すように憲法9条に自衛隊を書き込めば、9条2項の戦力不保持・交戦権否認の規定が空文化・死文化し、海外での武力行使のために自衛隊を派兵できます。国民も自衛隊員も危険にさらす改憲は阻止しかありません。

改憲「必要ない」が6割

 臨時国会開会後、日本世論調査会が行った調査では、9条の改憲が「必要ない」との回答が56%にのぼり、17年12月の調査より、3ポイント増えました。国会での改憲議論を「急ぐ必要はない」も69%と、7割近くです(「東京」13日付)。国民が9条などの改憲を望んでいないのは明白です。

 「安倍改憲ノー」の「全国3000万人」署名の推進など、世論と運動を全国津々浦々で広げ、憲法を守り生かすことが急務です。


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