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2019年9月12日(木)

きょうの潮流

 最後の宮大工といわれた西岡常一さんの口伝は含蓄に富んでいます。「木は人間と同じで一本ずつが全部ちがうんです。個性を殺さず癖を生かす。人も木も、育て方、生かし方は同じだ」(『木のいのち木のこころ』)▼木の性質を見抜き、材として使い分ける。「適材適所」の由来です。さて、こちらはどうか。19の閣僚のうち17人を交代させた安倍内閣の改造です。いくら刷新をアピールしても、要は留任か首相の側近を入れ替えただけ。数々の暴言や不祥事、疑惑で騒がした面々が並びます▼サプライズとはやし立てられる小泉進次郎氏の起用もしかり。終戦日の靖国参拝や選挙の人寄せに走る彼に何が期待できようか。もはや適材適所にかかわりなく、首相の改憲の野望とアベ政治を一体となって推し進めるための布陣です▼「新しい国づくりを進めていく」。改造内閣の発足をうけた記者会見で安倍首相は「挑戦」をくり返しました。しかし、めざす国の姿は明らかにしないまま、言葉だけが躍りました▼だいたい、人事などにかまけている場合か。この暑さのなか、いまも数十万戸が停電し、断水や食料不足にも苦しむ多くの人びとがいるのに。一刻も早い解消に力を尽くすことが政府の喫緊の役割ではないのか▼自然を相手にしながら、命の尊さと目先のことだけを考えない社会の大切さを説いた宮大工の棟梁(とうりょう)。長い歴史の伝承と知恵は政治のあり方にも通じるでしょう。なによりも、首相の野心ではなく、国民のためにあるのですから。


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