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2019年8月27日(火)

きょうの潮流

 今ごろ、どこで何をしているんだい? とても逢(あ)いたい―。今月都内で開かれた「みんなの寅さん展」には、世代をこえた来場者の姿がありました▼撮影時の小道具や台本などの展示物の中に旅先の車寅次郎に宛てた山田洋次監督からのメッセージがありました。「君とバカ話をしながら、ああ、オレの精神の中に自由への憧れがまだあるんだな、ということを知って安心したいんだ」▼50年前のきょう、映画「男はつらいよ」の1作目が公開されました。当初はおもしろくない映画をつくってしまったと、会社も監督も落ち込んでいたといいます。ところが映画館は連日観客の笑いに揺れるほど。以来、特別編をふくめ49作がつくられ、長きにわたって愛されつづけました▼主演の渥美清さんは生前「寅に惚(ほ)れた」と語っていました。「わたくし、寅という男が大好きでございますよ。もし、今の世の中に寅のような男がいたら、わたくし、寅のヤツを、いい気になって見ていたいと思います」▼社会からはみ出されたような人間を、ふるさとや家族のつながりとともに温かく見守る、人生の応援歌ともいえるシリーズ。その魅力は見る人の心に多彩に色づいています。節目の今年は22年ぶりの新作「お帰り 寅さん」が年末に公開されます▼こみ上げる懐かしさとともに、どんなメッセージが発信されるのか。山田監督はいいます。「窮屈でゆとりのなくなった今の時代を生きる人たちに、寅さんを通して人間の価値や人生について考えてほしい」


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