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2019年8月20日(火)

「沖縄軽減」まやかし

米基地 外来機急増

普天間4倍 17→18年度

 沖縄県の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)と米空軍嘉手納基地(嘉手納町、北谷町、沖縄市)への外来機の飛来が激化しています。米軍の自由勝手な運用が激しさを増し、安倍政権が繰り返す「沖縄の負担軽減」がまやかしであることが浮き彫りになっています。(柳沢哲哉)


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普天間

 防衛省沖縄防衛局の調査(2017年4月~19年6月)によると、普天間基地への外来機の離着陸回数は17年度415回から、18年度は1756回と、4倍に急増しました。19年4~6月でも、引き続き高い水準で推移しています。

 常駐機を含めた全機種の離着陸回数をみると、17年度が1万3581回、18年度が1万6332回と、前年度比2割増でした。

 防衛省は16年度から、普天間基地のMV22オスプレイの本土への訓練移転を始めています。ただ、17~18年度の5回の訓練移転中の普天間基地の離着陸回数には大きな変化が見られません。

 その背景としてあるのは、逆に本土から普天間への飛来が急増していることです。「沖縄の負担軽減」を口実に普天間から米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)に移駐したKC130空中給油機の普天間への飛来が、18年度から再び急増。F35Bステルス戦闘機なども目立っています。

 これらの結果、宜野湾市への騒音などの苦情件数は、18年度で前年度比1・5倍にもなっています。

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嘉手納

 嘉手納基地への外来機の飛来は、17年度2万281回、18年度1万4358回。全機種の離着陸回数は、17年度5万8066回から18年度4万9509回と減少しています。

 同基地では、19年1月上旬から2本ある滑走路のうち、北側滑走路が補修工事により閉鎖され、南側滑走路1本で運用されていることが影響しているとみられます。しかしこの間、岩国からF35Bステルス戦闘機やFA18戦闘攻撃機、韓国烏山(オサン)基地からU2偵察機など、外来機が恒常的に飛来。総離着陸回数に占める外来機の割合は17年度35%、18年度30%と高い割合で推移しています。

爆音拡大 地元は抗議

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(写真)嘉手納基地に駐機するF35=2018年1月31日

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(写真)同基地に着陸するCV22オスプレイ=同年6月4日(日本共産党の中村重一北谷町議〈当時〉撮影)

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(写真)同基地に飛来するRC135偵察機=同年9月

 嘉手納基地への外来機は、MV22オスプレイが17年8月を除き毎月飛来。特殊作戦機CV22オスプレイも18年6月に8回、19年2月に20回離着陸しています。

 核実験の際に大気や粒子性物質の収集を行うWC135は17年4、5月、9~11月に飛来しています。同時期は、北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返し、同年9月には6回目の核実験を行うなど、米朝の緊迫が高まっていた時期でした。ただ、同年12月以降は、18年4月以外は飛来がありませんでした。この間、北朝鮮は弾道ミサイルの発射をやめ、史上初の米朝首脳会談(18年6月)など対話路線へ前進しました。WC135の動きは、米朝情勢の流れとリンクしています。

 特徴的なのは、RC135電子偵察機の半常駐化です。同機は、弾道ミサイルに関するデータの収集と分析を行うことができる複合情報収集任務機で、北朝鮮でミサイル発射の兆候があるたびに極東に派遣され、情報収集を行っています。17~18年度は、19年1月以外毎月頻繁に飛来しています。北朝鮮だけでなく、中国やロシアの動きも視野に入れている可能性もうかがえます。

 相次ぐ外来機の飛来に伴う爆音被害の拡大に対して、嘉手納町議会は19年2月に「嘉手納基地における訓練激化に抗議する決議・意見書」を可決。「これまで国外及び県外に訓練移転されたにもかかわらず、移転期間中も外来機が長期にわたり訓練が実施され、目に見える効果が表れていない状況にある」と指摘しています。


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