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2019年8月6日(火)

重度訪問介護サービス

通勤・就労時の支援に第一歩

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(写真)参院本会議場に入るれいわ新選組の舩後靖彦(手前右)、木村英子(同左)両議員=1日午前、国会内

 5日に閉会した第199臨時国会は、障害者に開かれた国会をいかに実現するかが問われる国会となりました。重度障害を有する、れいわ新選組の木村英子、舩後靖彦両議員は、これまで受けてきた「重度訪問介護」サービスを議員活動中も受けられるよう要望。参院議院運営委員会は要望を受けて検討を行い、重要な論点が明らかになりました。

運用認められず

 木村氏は、初登院した1日、国会内での会見で「重度訪問介護」サービスについて問われ、「いままで障害者運動にかかわってきた。制度は急に変わらないことは知っている」「これからは国会内で改善させていきたい」と述べました。

 「重度訪問介護」サービスは、障害者総合支援法に基づき、重度の障害があり、常時、介護の必要な人が食事・排せつの介護や、洗濯・掃除などの家事の支援を公費で受けられる制度です。

 しかし同サービスは、就労・通勤など経済活動にかかわる利用を、制度の運用でできないこと(厚労省告示523号)としており、厚労省は「登院しての議員活動もサービスの対象外」と主張しています。そのため、木村、舩後両氏は国会議員として活動中の介護者について支援を受けられないことになります。

 これに対し、木村氏は参院に提出した要望書で、この制度が重要な生命線であり、制度が無ければ生きていくことができないと訴えていました。さらに、重度の障害者が働きたくても介護者をつけることができないこともあり、重度障害者の社会参加を助ける制度となっていないと主張。木村、舩後両氏は、制度を改善し、通勤・就労時の活動への支援を求めています。

 要望を受けた参院議運委理事会では、日本共産党の田村智子議員が、同サービスの問題点について、先の通常国会で成立した障害者雇用促進法の審議で与野党ともに見直しを求めていたこと、付帯決議には「通勤に係る障害者への継続的な支援や、職場等における在り方等の検討を開始する」とあることなどを指摘し、議運理事会としてこの態度表明をすべきだと発言。制度改正を待たずに、障害者権利条約の立場で、参議院として費用負担すべきだと求めました。

権利条約順守を

 日本が2013年に批准した障害者権利条約の第27条(労働及び雇用)では「締約国は、障害者が他の者との平等を基礎として労働についての権利を有することを認める」としています。また、第29条(政治的及び公的活動への参加)では「選挙に立候補し、並びに政府のあらゆる段階において実質的に在職し、及びあらゆる公務を遂行する権利を保護すること。この場合において、適当なときは支援機器及び新たな機器の使用を容易にするものとする」としています。

 議運理事会では、制度の改善を政府に求めるとともに、当面、議員活動に必要な介助を提供することを参議院が行うと確認しました。今後、議会、政府ともに両議員の要望に早急に応えることが求められます。(若林明)


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