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2019年7月27日(土)

安倍政権の社会保障「改革」

介護保険 改悪議論を加速

家族介護の負担増・重症化も

 参院選が終わったとたん、安倍政権が社会保障改悪の動きを強めようとしています。安倍首相は22日の記者会見で「社会保障全般にわたる改革を進めていく。今後、具体的な議論を加速していく」と表明しました。なかでも、焦点となるのが、介護保険制度の改悪です。

利用料引き上げ

 安倍政権は、2014年に要支援1、2の人を自治体が独自に運営する「総合事業」に移行させたのに続き、要介護1、2の人の生活援助サービスも総合事業に移そうとしています。安倍政権が昨年末に閣議決定した「改革工程表」は、20年度中に実行するとしています。今後、社会保障制度審議会(厚労相の諮問機関)の介護保険部会で年内に議論を取りまとめ、来年の通常国会に法案を提出する構えです。

 さらに、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の建議は、介護保険の利用料を原則1割から2割に引き上げること、ケアプラン作成の有料化などを要求しています。

 しかし総合事業では、本人の意思とは無関係に介護「卒業」を迫る自治体が相次いでいます。要介護1、2の人まで保険給付から締め出されれば、介護難民や家族介護の負担増、重症化などにつながりかねません。

 2016年の参院選が終わった直後の介護保険部会では、「軽度者への支援の在り方」として「要介護1、2」の人の生活援助の保険給付外し、福祉用具の貸与の原則自己負担化などが打ち出されました。

運動で押し返す

 これに対して、委員から「給付削減は重症化を早め、介護財源を圧迫化するだけだ」との異論が続出。つえや介護ベッド、車いすなどの福祉用具の原則自己負担化については、多数の自治体で自己負担化に反対する意見書が決議され、22万を超す反対署名が集められました。

 それらを受け厚労省は、福祉用具の原則自己負担化を断念し、上限設定にとどまりました。要介護1、2の人の生活援助については、一定回数以上の利用がある場合、ケアマネジャーに報告の義務が課せられることになったものの、保険給付外しは見送らざるを得ない状況に追い込まれました。

 安倍政権が狙う介護保険制度の改悪は、これまでになんども否定されてきたいわば“亡霊”です。これ以上の改悪や負担増を許さないたたかいが求められています。


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