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2019年7月8日(月)

きょうの潮流

 「人生を無視された棄民状態です。国は基本的人権をどう考えているのか」。マグロ漁船・ひめ丸の乗組員だった増本和馬さんの訴えが法廷に響きました▼米国が1954年にビキニ環礁などで強行した核実験で、多くのマグロ船員が被ばくした「ビキニ核被災事件」。今日まで真相を隠し、被害者救済を怠った日本政府の“国家的犯罪”を問うビキニ国賠訴訟の控訴審です▼事件は、米国が見舞金200万ドルを日本に支払うことで翌年1月「政治決着」。当時の日本政府が「大規模な戦犯の解放と仮釈放」を取引材料に、廃棄した汚染マグロの値などに限定して早期決着させた―。こんな裏取引を示す日本側公文書が研究者の手で明らかに▼「国は初めから第五福竜丸以外の漁船乗組員のことは切り捨てていたと思うと、腹立たしい限りです。私らを、戦犯の釈放の取引材料にするという事実も知るとますます、怒りが増します」▼事件の実相を今も隠し続ける安倍政権・自民党政治の根深い隠ぺい体質に嫌気がさすと増本さん。「親の代からコチコチの自民党でしたが、見切りをつけました」。親の墓に報告すると「よくやった」と墓石をゆらし、言うはずだと笑います。「本腰を入れて国の不正をただすという点では共産党だと思いました」とも▼ビキニ水爆被災は、計り知れない人たちの命に関わる人道上の問題。加害の米国と一緒に核実験の人体への影響を矮小(わいしょう)化する日本政府の責任は、今も重大です。人間のための司法の判断が必要です。


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