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2019年7月2日(火)

きょうの潮流

 地図の上に引かれた一本の線。朝鮮半島と同じ民族を隔てた北緯38度線はそこでくらす人びととは関係なしに決められました。日本の植民地支配が終わった後、米ソの分割の目印として▼1950年6月25日。北朝鮮の攻撃から始まった戦争は北から南、南から北へと前進と後退をくり返し、半島全体に破壊のローラーをかけました。大国の身勝手によって同胞が殺し合い、みずからの地と心を引き裂き、血の涙を流して▼38度線上にあり、休戦協定が結ばれた板門店は南北分断の象徴とされてきました。もとは農家が点在する寒村。板戸の里と呼ばれ、旅人相手の店の屋号が板門店だったとも。いずれにしても、わびしい場所が一躍、歴史の前面に浮上したところに戦争の性格が表れています▼その場でトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長がみたび顔を合わせました。いまも休戦状態がつづく軍事境界線を二人で行ったり来たり。なにかを暗示するように▼会談では、これまで合意した朝鮮半島の非核化や平和体制を進めるために実務交渉を始めると。長く敵対してきた地で米国と南北の首脳が一堂に会し、実現に向けて笑顔で手を握り合ったことは喜ばしい▼歴史が大きく動くなかで蚊帳の外に置かれているのが日本の安倍首相。議長を務めたG20でも橋渡し役の韓国・文在寅大統領との会談もできず、頼みとするトランプ氏からもなしのつぶて。破たんする安倍外交に、北東アジアや世界の平和づくりを任せられないのは明らかです。


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