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2019年6月21日(金)

主張

年金と党首討論

減らさぬ提案に背向ける首相

 年金だけでは老後の生活に2000万円不足するなどとした金融庁の審議会報告書を機に、年金制度への国民の不安が広がる中、今国会初の党首討論が行われました。日本共産党の志位和夫委員長は、年金給付水準を引き下げるいまの仕組みをやめ、そのための手だての一つとして高額所得者を優遇する年金保険料のあり方を変えて「減らない年金」にする提案を具体的に示しました。ところが安倍晋三首相は、現在の仕組みをあくまで正当化し、認識をただした志位氏の問いに全く答えようとしません。真面目な議論すら拒む首相の姿勢は全く異常です。

高額所得者優遇をただす

 現在の年金には2004年の法改悪で、「マクロ経済スライド」という仕組みが導入されています。毎年の年金額を決める際、物価・賃金の上昇より年金引き上げ分を低く抑え込み、実質的に削減するものです。この仕組みは、現在41歳の人が65歳になる2043年まで続くとされ、受け取る年金は、平均的な夫婦世帯で月4万3000円、30年間に約1600万円も減らされる計算になります。この仕組みのままでは、老後への不安はますます高まるばかりです。

 日本共産党の小池晃書記局長が10日の国会質問で「マクロ経済スライド」をやめることを要求したことに対し、安倍首相は「給付と負担のバランス」が成り立たなくなるなどと廃止を拒みました。

 「マクロ経済スライド」を廃止しても、「給付と負担のバランス」をとる方法はいくつもあります。志位氏は、その一つとして高額所得者を優遇する保険料のあり方をただすことを提案しました。いまは、ボーナスを含めて年収約1000万円を超えると、保険料は増えない仕組みです。年収が2000万円でも、1億円でも年間保険料は同じ95万5000円です。志位氏の提案は、上限額を約2000万円まで引き上げて保険料収入を増やすとともに、高額所得者が受け取る年金給付の伸びを抑制するというものです。これを実行すれば毎年約1兆円の収入増になり、「減らない年金」の財源にあてることができます。保険料上限の約2000万円への引き上げは、すでに健康保険で実施されています。高額所得者の年金を抑えることは、アメリカで行われています。常識的でシンプルな提起です。

 ところが首相は、志位氏の提起を真剣に受け止めません。しかも、“『マクロ経済スライド』廃止の財源に7兆円が必要”という数字を根拠も示さず突然持ち出し、「マクロ経済スライド」廃止は「ばかげた案」と居直りました。苦し紛れの勘違いなのか。実際に「廃止に7兆円」かかるのか。もし7兆円が事実なら、「マクロ経済スライド」で国民の年金が7兆円も奪われるという重大問題です。「減らない年金」への改革が急務であることを浮き彫りにしています。

参院選での審判が必要

 自民、公明両党が盛んに繰り返した「100年安心の年金」に国民の不信は強まる一方です。政府・与党がいくら金融庁報告書の受け取りを拒んでも、“貧しい年金”の現実は変わりません。国民が本当に安心できる年金にするために政治が役割を果たす時です。

 参院選で安倍政権に審判を下し、頼りになる年金実現へ一歩を踏み出すことが必要です。


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