しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年6月14日(金)

きょうの潮流

 日本の公的年金は、戦前の船員保険法に始まります。太平洋戦争開戦の翌年には船員以外の労働者にも対象がひろがり、1944年には名称も厚生年金保険法に改められました▼新しい日本的年金保険制度は皇国勤労の観念に基本をおく―。当時の厚生省年金課長は制度の理念をそう説明しました。軍需生産の増強や戦費調達をはじめ、戦争遂行のために利用されたのです(芝田英昭編『社会保障の基本原理と将来像』)▼戦後の年金は憲法で国民の権利とされた、健康で人間らしい生活を保障するための制度として歩んできました。そこに流れているのは、国のために国民があるのではなく、主権者である国民がよりよく暮らせるために国があるという考え方です▼100年安心。政府が公言してきた年金が、実は足らないという不信と怒りがいま列島に渦巻いています。発端となった金融庁の報告書について、安倍政権は「受け取らない」「もうない」などと火消しに躍起です▼自分たちに火の粉がふりかかると、責任転嫁やもみ消しで逃れようとする相変わらずの見苦しさ。二階・自民党幹事長に至っては「我々は選挙を控えている」とあけすけです▼年金をめぐる問題は多岐にわたって切実です。少子化の背景にある性差別や結婚、子育てに踏み出せないきびしい現実。最低賃金が千円にも満たない貧しい労働環境。だれもが自分らしく暮らせる社会への転換。野党と市民の共通政策は国の誤りをただし、土台をつくり直す道を示しています。


pageup