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2019年5月26日(日)

「星条旗」を見上げる国

大空襲被災地 スカイツリー

東京・墨田

写真

(写真)星条旗をイメージして点灯した東京スカイツリー=25日

 東京スカイツリー(東京都墨田区)は、25~27日の3日間、午後6時45分から午前0時まで米国旗・星条旗のイメージでライトアップされます。

 トランプ米大統領の訪日(25~28日)に合わせた歓迎イベントの一環。東京スカイツリー広報部は「外務省から米国国旗をイメージした特別ライティングの協力提案」を受けたとしています。

 他国元首の訪問を歓迎するのは、当然ありうることですが、このイベントには強い疑問をもたざるを得ません。

 スカイツリーは、太平洋戦争末期、米軍による東京大空襲によって焦土となった地域の中央にそびえています。それを星条旗でライトアップするのです。

 米軍による東京空襲は1945年2月から5月にかけて60回以上に及びました。中でも3月10日の下町空襲=東京大空襲では、320機以上のB29が現在の江東、隅田、台東、中央の各区を中心に絨毯(じゅうたん)爆撃し、1700トン近い爆弾を投下。木造建築の密集する地域を焼く尽くすことを目的に設計された焼夷(しょうい)弾(ナパーム弾)で、東京都区部の3分の1以上を焼き尽くし、一夜にして10万人が亡くなりました。

 民間無差別爆撃は当時の国際法に反するものでしたが、戦後、日本政府はヒロシマ・ナガサキでの核使用も含め、米国の責任は今日まで追及されずにきました。それどころか無差別爆撃と殺りくの指揮官だったカーチス・ルメイ将軍に、自衛隊の創設と訓練に功績があったとして64年に勲一等旭日大綬章まで授与しています。

 墨田区で長年、空襲戦没者の追悼などに取り組んできたあるお寺の住職は語ります。「スカイツリーに近い本所、押上、向島などは被害の大きかった地域。そこで星条旗を見上げるような光景をつくるのは、被害者や遺族への配慮に欠けるものではないですか。日本はどういう国なのか。沖縄の問題も含め独立国といえるのか。灯は、アメリカに引きずられていく、その象徴のように見えます」(中祖寅一)


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